P_CUP さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
職人、武本監督が見せたソツの無さ
Free!の内海紘子監督から武本康弘監督に交代になっての劇場版ハイ☆スピード。
原作「ハイ☆スピード2」を、Free!と不整合が起きる部分をちょこちょこ改変しつつも、
上手く映画の尺に納めて映像化しており、青春物としてソツのない作りだと思いました。
{netabare}Free!のファン、特に「まこはる」派ならば、悶絶するようなシーンもちゃんとあるので、その辺りも安心設計。{/netabare}
作画はもちろん良好。水の表現は極めた感がありますね。
競泳シーンも、映画のスクリーンで観ても迫力のある仕上がりになっていて、この辺りもソツがない。
構成的には、シナリオをただ追うより、各キャラクターの心情を追う、感情芝居中心の組み立てで、この辺りは京アニのお家芸。
とまあ、要所要所をきっちり抑えて来たなあ、というのが1回観ての感想です。
自分が思うに、武本康弘という人は「職人」タイプの監督だと思います。
先日行われた京アニ&Doイベントでの監督対談でも、
「自分のことを『作家』だとは思っていない。ただ、任された仕事を1つ1つ着実に片付けるうち、気が付いたら監督になっていた」
なんてことを明言されてましたからね。
今回も「職人」として、やるべき仕事を堅実にこなした、という感じでしょうか。
そのせいか、Free!にあった「狂気」みたいなものは、今作からはあまり感じない。
{netabare}(いや、あるにはあるんですが。思わず「ちょwww」と声が出そうになったシーンもありましたしw){/netabare}
何しろあちらは、「公式同人作品」と表されるほど、内海監督の趣味嗜好が丸出しになっていて、
良くも悪くも、内海紘子という人の「作家性」が前面に出ている作品でした。
「職人」武本康弘のハイ☆スピードか、「作家」内海紘子のFree!か、どちらを良しとするかは、観て確かめてください。