退会済のユーザー さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
作品としては良作。P.A.社は流石。しかし危うい面も。
まったくもってP.A.WORKSらしい作品。
本作は、同社によるオリジナル作らしいので
同社らしさは最大限に発揮されているのだと思う。
作画に手を抜かず、ストーリーも至って真面目。
この会社は、仕事に対してストイックというか
ちょっと度が過ぎた幻想みたいなものを感じる。
昭和のノリである。
誰かが良い気分になるためには、誰かがその影で苦労しているということ、
これは接客業で言えば、客が前者で、従業員が後者という事になる。
基本的には正しい。しかし、従業員を虐げてまで客に尽くすような
姿勢は誤りだと認めるべきである。
いわゆる、「お客様は神様です」という奴である。
そうではない。客は何をしても許されるわけではないし、
従業員は無限の結果責任を負わされるものでもない。
昭和の時代は、そのような精神があったかもしれないが、
これは時代錯誤と言わざるを得ない。
作中で、皆から慕われる女将さん(おばあちゃん)、それからヒロインの母、
二人とも、正常な見方をすれば、単なるわがままである。
しかも性質の悪いことに、自らに信念をもった、わがまま人間である。
その信念が、理念そのものは全く筋が通ったものであるが故に、ますます性質が悪いのだと思う。かわいそうに、まだ若きヒロインは完全に女将さん流のやり方に陶酔している。しかし、このような働き方を是認することは、鬱病を生んだり、過労による健康障害を誘発するだろう。適正な範囲はどこか、特に上に立つ人間は重々わきまえて置かねばならない。
P.A.社は、SHIROBAKOのときにも感じたけど、そういう危うさを感じる。仕事=モーレツに働く、はもはや支持されないのだ。今の時代には。
作品としては、そういったブラック企業のリアリティみたいな点を除けば素晴らしい出来であった。皆が評価するのも頷ける。
クソ真面目で良いアニメといえばP.A.社、この認識は既にアニメ界に
広く浸透している。今後も良作を生み出してほしい。