CountZero さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
江戸っ娘のロックな生き様にドキドキ
というか、全編を彩るべらんめえ節が素敵でした。
世の中に関西弁は溢れていますが、江戸弁を聞けるのは落語や時代劇くらい?なのでその独特の表現やニュアンス、アクセントがとても心地よかったです(笑)
北斎といえば日本画で知らない人はいない超有名人ですが、その娘や弟子については全く知りませんでした。
もちろんフィクションな部分もたくさんあると思いますが、江戸時代に活躍した画家の日常が躍動感と情感豊かに描かれていたので、とても観ていて飽きないエンタメ作品になっていました。
そして、何と言っても北斎ではなく娘のお栄に焦点を当てているところが、すごく良かったです。
彼女が本当にロックでカッコいいのです(笑)
優しく気丈でありながら、繊細な感性を持つ女性は今も昔も魅力的ですよね。
題材として正しい選択だったと思います。
物語も人間ドラマに昔話的なフィクションが、少し怪談的スリラーの要素をちりばめて進んでいくので、私は適度な緊張感を感じてよかったです。
登場人物のバランスのとれた描き方と、感情の動きを丁寧に表現しているその手腕にも好感が持てましたが、作画のレベルもハンパありません!
素晴らしい出来でした。
人の日常の自然な動きやくるくると変わってゆく顔の表情を、きちんと省くことなく描きながら、現実と空想の場面の描き方も違和感なく繋がっている演出に本当に舌を巻きました。
随所にアニメーターの技術と意地とプライドを見ることができます。
圧巻は、後半で描かれた{netabare}お栄ちゃんの爆走シーン。他にも結構手書きで細かく書き込まれていたシーンがあったと思うので、あれも手書きですよね?本当にすごいです。ソウルイーターのOPを思い出しました(笑){/netabare}。
ところどころに実際の浮世絵の構図がはめ込まれているのは、遊び心を感じました。
作画は間違いなく一見の価値があります。
もう一つ、忘れてはならないのが音楽です。
BGMはかなりロック色が強いです。
江戸時代のお話なのに(笑)
でも違和感はありません。
お栄ちゃんの生き方がロックなので、むしろエレキギターの歪んだ音やストリングスの音が感情をしっかり表していました。
そしてEDに椎名林檎です。
私は元々大好きなのでそれだけでも評価は上がりますが、ロックなお栄という女性のイメージに林檎嬢はぴったりでした。
ということで、劇場公開を見逃しつつ視聴できる機会を楽しみにしていた私としては、期待通り今年のアニメ映画の中でもなかなかのお気に入りになりました。
年末年始のお休みに見るのはいかがでしょう。
クールジャパンを感じることができる良作です。
おすすめです。