てけ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
麻枝ソース
「AngelBeats」に続く、麻枝准(まえだじゅん)とP.A.Worksのコラボ。
バトルのない能力+学園ものです。
この作品、実に麻枝節が効いています。
- 音楽
- 野球
- made in hellな食べ物
といったおなじみの要素から、
- 現実にはまずいないであろうキャラ造形
- ハイテンションなギャグ
- お涙頂戴シーン
- 死生観
といった、パターンまで、麻枝流教科書の重要単語がこれでもか、と入ってきます。
ひとつひとつをじっくり見せればすばらしい作品を作り上げられる人です。
しかし、尺の短さの割りに要素を詰め込みすぎです。
そして、各要素につながりがほとんど見られません。
なんというか、
「野球で1話でしょー、音楽で1話でしょー、それから……」
ってな感じで、まず入れたいシーンを考えてからプロットを作ったんじゃないかと思わされるくらい。
別に入れなきゃいけないものでもないのに無理に入れている印象を受けます。
結果、どこが中心なのか分からず、全体的にかなり薄っぺらく……。
秘伝のピザソースを入れて、料理をみんな同じ味にしてしまうシーンがありますが、それを作品でやってどうするよ!
むしろわざとやっているんでしょうか……だとしたら非常にメタい。
物語の根幹が薄くなると、必然的にキャラクターも薄くなってしまいます。
ひとつのエピソードを完結させるため、キャラクターが唐突に現れる。
そして、気付いたらいなくなっている。
後半はメインシナリオに多くの尺が取られます。
そんな中、新キャラが増えるため、もはや設定の隙間を埋めるコマにしか感じられませんでした。
でもね、やっぱり見てしまうんですよ。
シナリオ、設定、キャラともに不満点が多いのですが、雰囲気がいい。
セリフまわしも独特だし、かっこいいシーンは中二心をくすぐられる。
素材もスタッフもいいので、「次はもっと面白くなるか!」と毎回期待してしていました。
豪華な食材に麻枝特製ピザソースをかけて仕上げたような作品。
ただ、キャラクターのクセは比較的少なく、また短いアニメです。
麻枝作品はこんな感じなのかと把握するのにちょうどいいアニメかもしれません。