セメント さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
そこは、記憶を操作できる世界
記憶を売り買いし、身体を入れ替えられる
金さえあれば死ぬことのない世界
監督・脚本は天才・湯浅政明さんです、制作はマッドハウス。
出ました、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞作品です。
よく分からない賞ですが、本作なら表彰されるのも納得の出来です。
まず世界観が素晴らしいですね、タイトルも"海馬"なんて、いかにも質アニメっぽい名前ですよ。
記憶が操作できる世界ということで、金持ち達は貧しいから若い身体を買い取り、自分の記憶を植え付け半永久的に生き続けることが出来るわけです。
貧民の若い身体は高く売れます、その代わり、金持ちの記憶が植え付けられた場合自分の記憶は失われてしまいます。
そうした貧民の記憶は大量に溢れ空中に漂っています、こうなるともう記憶を取り戻すことは出来ません。
主人公は記憶を失ったカイバという少年、ここがどこかも、自分が誰かも分らない中から始まり、様々な人と記憶との出会いから自分を見出していく、というような話です。
まぁ湯浅監督作品という事で伏線などの考察のし甲斐に満ち足りてるんですが、それに加えて物語がまず面白いんですよね。
「銀河鉄道999」的なオムニバスで進んでいく前半は重い話もありますが基本楽しく見れるんですよね、7話から一気に話が変わって自分の謎、世界の謎に迫っていく話になると、畳み掛けるような怒涛の展開といいますか、とにかく凄いです。
湯浅さんの前作「ケモノヅメ」の世界観はかなり風呂敷を広げてそのままだった感じもありますが、これは着地点もしっかりしていたように思います。
湯浅監督作品って、声優はきちんとしてる気がします。
このタイプの監督さんって拘りありそうでよく声優が本業じゃない方起用するんで・・・某パヤオや某禿など・・・
音楽はしっとりとしていて癒される楽曲となってます。
バニラとクロニコの結末が悲しすぎる・・・
クロニコの唇を噛んだ表情、今でも鮮明に記憶に残ってます。
何しろ絵が特徴的で人を選ぶとは思いますが、ハマる人は結構ハマるんじゃないでしょうか。