伝説のししとう さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
言葉は最大の凶器
映画館に行くのは久しぶりです。「ここさけ」観に行って参りました。
私は「あの花」で感動できなかった人間なので、「あの花」スタッフが再集結!という宣伝は、マイナスにしかなりませんでした。故に、そこまで期待はしていませんでした。
結論から言いますと、とても良かったです。私は好きですが、感情の爆発や心の揺れる部分はあの花より少ないので、あの花が好きな人にとっては、同じような内容を期待すると肩透かしを食らうかもしれません。
あの花とは違い、作品で伝えたいことがはっきりしていた点や、過剰なお涙頂戴展開がなかった点も個人的には評価したいです。
キャラデザもとっつきやすいので、普段アニメを観ていない人にも十分にお勧めできる作品だと感じました。
ネタバレ込みの感想
{netabare}・冒頭のつかみが素晴らしい
これはあの花もそうでしたが、冒頭でしっかり作品に入り込められる演出は流石です。
言葉で人を傷つけてしまったことは、誰もが一度は経験した事があるでしょう。だからこそ、順ちゃんに自然に共感することができました。
・歌うことと話すこと
順は玉子によって言葉を封印されてしまい、言葉を話すとお腹が痛くなるようになってしまった。
歌なら大丈夫っていうのは、歌うことは一人でできるけど、話すことは一人でできないからだと勝手に解釈しております。
拓実が大樹や三嶋たちと喧嘩になったときに、それを止める順ちゃんの姿が印象的でした。
・言葉は凶器
言葉の重みを訴える順に触発され、拓実や大樹が変わっていく姿がよく描かれていたと思います。
「こ、言葉は、傷つけるんだからっ!…絶対に…もう取り戻せないんだからっ!」
「後悔したって、もう絶対に、取り戻せないんだからっ…!!」
ファミレスでの順の言葉が印象的でした。
・死で涙を誘っていない
まあこれは超個人的な意見ですけどねw 死というテーマを絡ませずに感動させたあたり好印象。まあ絡んでなくても私は泣かないんですけどねw
・田崎大樹について
この子は順ちゃんと同じくらい成長しましたよね。序盤の悪役から打って変わりました。
最後の告白も賛否両論ありますが、私は清々しく感じました。唐突だって言われてますけど、頬赤らめたり、感情を押し殺しているシーンもあったのでいいかなと。これによって、大樹は完全に自分の殻を破り切ったんだと思います。
玉子は点を取ると王子になるので、ミュージカルでは玉子を演じていた大樹が順の王子様になるのかなと思ったり…
不満点
・ラブホ
別にラブホを登場させることは悪いことではないのですが、終盤の例の感動シーンでの背景がラブホっていうのが…興醒めしてしまいまして…私だけかもしれませんが
・ミュージカルでの二重唱
順のソロパートから二重唱への下りは良かったんですが、残念なことに歌詞が全く聞き取れませんでした。
せめて字幕を表示して欲しかったですね。
・順の両親について
この二人が、この物語が始まった元凶なんだから、最後に順と和解して欲しかったと個人的には思いました。和解までいかなくても、ミュージカルの後に何かしらのシーンは欲しかったですね。{/netabare}
総評
なんか物足りないなぁという気持ちもありますが、時間的に詳しく各キャラの過去とか掘り下げるのも難しいだろうから、しょうがないかな。
それにしても、成瀬順役の水瀬いのりさんの演技が素晴らしかったです。声優には☆5.0をつけさしていただきます。
以上から、ここさけは良作ではありますが、もう一歩上に踏み込んで欲しかった惜作とします。
部分的な感想でしたが、読んでいただき、ありがとうございました。