ytbt99 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
作画演出音楽全てに作り手の神経が張り巡らされている
よくある怪異退治譚や妖怪との触れ合いハートフル作品と思うなかれ
描かれているのはあくまで美化のないありのままの人間の本質についてであり、「蟲」とはそれらを鏡の様に映す自然現象に過ぎない
舞台は明治初期辺りの農村、漁村が殆どで基本的に1話完結のオムニバス形式で進んでいくのだが、登場するキャラクター達の設定が突飛ではないけれど1話1話非常にバラエティーに富んでおり、飽きがこない
そのキャラクターと対に登場する蟲もどこか愛着のわく様な物から、凍える様な恐ろしいものまで様々
1人の主人公が医師に近い立場で様々な事件や現象に対処していく
このアニメを見た後の独特の感覚が1番近いなと思ったのは手塚治虫の天才外科医が出てくる漫画の読了感
時にこちらが見たくないような人間の醜い本質を如実に描いてきたかと思うと、ほっとするような暖かい話や、きゅっとする切ない話もありと、静かに進むのに心は終始ざわざわさせられるような作品
原作漫画の出来が素晴らしいので、原作を忠実にアニメ化してる今作の出来もまた良いのは当然、なのだが
原作の魅力を120%以上引き出しているアニメーションを自分はこれ以外に知らない
と断言できるほどのスタッフの異様なまでの熱意が感じれるクオリティになっている
効果音1つとっても山や海に音響スタッフが赴き生の音を収録したり、自然物を持ち帰って音を作ったりというこだわりっぷり
原作の良さはそのままに白黒の漫画に決してやり過ぎでない鮮やかな色彩と滑らかな作画、絶妙なコンテの間と演出でもって「命を吹き込んでいく」ようなアニメ化になっている
ただただ美しい里山の風景を眺めるもよし、物語に入り込んであれこれ考えながらみるもよしなスルメ作品になっている
これぞ日本人にしか作れないアニメでは?と思える良作なのでまだ未視聴の方は是非とも一度見てみてほしい