ダリア さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
イヴの時間プロトタイプ
例えるなら、これが吉浦康裕の描きたいもの100%。これを希釈して40%程にして大衆受けに薄めたものがイヴの時間やアルモニなのかなと。
{netabare}
言葉、それが力を持って言霊になった時、それを原動力にして店の魚は動くんじゃないっすかね(適当)
正直、恥ずかしながら初見だと全然何言ってんだこいつ状態でした。最後に店員さんがロボットだったのも、イヴの時間のナギさん知ってるから「へえー」みたいな感じで全然意外性も無かったし。あれ、イヴの時間見てないと違って見えるんでしょうかね。
店に居るのは全部で7人。振られた事を愚痴る男性と店員さん。又聞きの話をする女性二人組。店の魚が動いた話をする男性二人組。黙して読書する男の子。
それぞれがしている話はなんの相互関係も持たないようで関係しあっている、という話なのですが......結構色々考察サイトも見たのですが、面白い考察は一つしか見つかりませんでした。
なんでも、この作品はデジタル社会を表しているのだとか。吉浦作品特有のめまぐるしく動きまくるカメラワークは各々の発言速度を表していて、本を読む少年は何も語らずともその場に居る人達の会話から情報を入手出来る、自ら発信せずとも好きなように情報を閲覧できるインターネットの側面を表しているのだとか。この作品が発表されたのは2002年。現代のインターネットをもしそんな意図で描いていたのなら、吉浦康裕監督はやはり天才なのかもしれません。
{/netabare}
気になったのは、店の内装。ほぼそのまんまイヴの時間なんです。恐らくこの作品の公開後、客一人一人や世界観をもっと掘り下げていってイヴの時間が出来たであろう事は想像に難くないですが、店に入ってすぐの看板に仕掛けを施したりといった基盤は既にこの頃からあったんですね。イヴの喫茶店の雰囲気が好きなので地味に嬉しい描写です