鸐 さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 2.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
プリキュアとは思えない泥臭いアクション
10月31日から公開された
「映画 GO!プリンセスプリキュア GO!GO!!豪華3本立て!!!」のCG中編の一作。
尊敬する3DCGモデラーの宮本浩史さんが監督した初の映画作品です。
まず、目を惹くのは彼の味がにじみ出ている可愛らしいキャラクター
厚塗りっぽいディティールで描かれるアニメキャラが見事にCGとマッチしています。
以下、宮本さん語りです
{netabare}
初めて彼の手掛けたキャラをみたときの衝撃は今でも忘れません。それまでのCGキャラクターといえば、ミスモノクロームのようなフィギュアな質感か、亜人のようなセルルック、もしくはFFのようなフォトリアルを連想するのが常でした。
最近はハーモニーのように静止画にすれば全く手書きとわからない作品も登場していますが、当時のセルルックは影のつけ方もイマイチだし、何より微妙に手書きアニメと近いことで動きに対する違和感が半端じゃなかったんですよね。
だから、どちらかと言えばフィギュア質感の方が良いなと思っていたのですが、フィギュアでは肉質感を感じることができず、物足りなさを感じていたのです。
フォトリアルに関しては、2.5時限くらいの立ち位置なのでおいておきましょう。
そこに現れた第3の道!
CGでも違和感なく、これほどまでに可愛く見せることが出来るんだ!とただひたすらに感動していました。
誰が考案したのか知りませんが、目に見えてすごい!と思わせるような映像作品に仕立てた彼の実力は確かなもので、日本人CGトップクリエーターとして名を馳せるにふさわしい存在だと感じます。{/netabare}
以下金田伊功賛美です
{netabare}映像としての見せ方は、まことしやかにささやかれている金田流、ホントコレです。
宮本さんがスクエニにいた時代に、金田伊功さんもいたはずですから、相当意識されていたことでしょう。憧れの人だったかもしれません。
特に顕著に表れていると感じるのは、金田流線!
レフィのレビューを読む大人なんて相当コアなマニアばかりでしょうから、説明不要でしょうが
あえて説明させていただきましょう。金田流線とは、漫画でスピード感を出すために、残像を線で描いている方法である。それをアニメにも応用した人物こそ金田伊功なのである。
素晴らしいッ!!
これ、最近のアニメではみる機会が少なくなってしまいましたが、アニメに取り入れたことによってスピード感だけではなく、迫力も取り入れることができる再注目されてもいい技法だと思います。
レフィーのワンダーナイトでももちろん使われていますが、特にフローラの戦い時は遺憾なく発揮されておりました。
それ故、女児向けであるはずのプリキュアの戦いがまるで泥臭さを感じる熱いスポコン漫画のような印象をもってしまっており、プリキュアとして観るには疑問を抱かざるを得ませんでしたが
CG×金田流線が新鮮だったのでアリと言えばアリかな。
あと、名称は適当なものが無くて説明しずらいのですが、
現実にはこうならないけど、こっちの方がかっこいいからというやつはありますね。セルルックのアニメだと、斜めからの顔をいかに可愛く見せるかが最重要課題になって、パーツごとに位置や大きさを変えられるのが常なのですが、プリキュアは他の作品よりも誇張が大きいと思います。そのためより表情が強調されて愛らしいキャラになっているのでは?
と、宮本さんのキャラが可愛く見える理由に自分なりの答えを見つけました。{/netabare}
さて、本編の内容ですが、パンプルル姫から貰った人形が、レフィという女の子に変わり、夜の闇に閉ざされたパンプキングダムを救うといういたってシンプルな物語になっています。
物語的にはフローラの扱いが酷かったり、
一部分闘い方が敵の足にしがみつく腕を噛むなど、女児向けとして許容できる戦い方ではなく「あれ?」と思うところもあったけれど、日本の最先端のCGアニメ映像は一見の価値ありだと思いました。