雷撃隊 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ジャンルの線引きは難しい(神崎蘭子の悩み)
アイマスに関しては知らない間にコンテンツが巨大になりキャラも増加しどれから手をつければ良いのか判らなくなりプロデューサーになり損ねてしまった経緯がある。765がアニメ化された際にアニメに登場する連中の顔と名前が一致する程度の知識だ。しかし、このネクスト・ジェネレーションともいうべき本作ならば1から勉強できるぜ、と思い立ち観賞、なかなか拾い物だった。
卯月、凛、未央の三人がメインにストーリーが続き見易かった。登場人物が多いので憶えられるかどうか不安だったがキャラ回しのエピソードで順番に覚えられた。ライブやPVの作画レベルも高くリピートしてしまう。ラブライブの時もそうだったが「お願い、シンデレラ」とか「精一杯、輝く」とか釣られて唄ってしまう。いい年してやばいなー。歌番組みたいに曲名、作詩、作曲のテロップが出るのが面白い。好きなキャラは蘭子、杏、凛、城ヶ崎姉妹、卯月、そして武内Pことプロデューサーさん。大所帯なのにゴチャゴチャ感は感じないのが良い感じだ。
働いたら負け、とほざいている杏さん、不労所得の為と言いつつ良く労働に勤しんでいる(笑)。凛、冷めているようにみえて次第に貪欲になり輝きが増してゆく。夢中になれて良かったね。城ヶ崎姉妹、時々ケンカもするけど仲良しでかわいい。卯月、元気なエガオでみんなを引っ張ってゆく存在感、主役の役目を果している。終盤、落ち込んだときに仲間に引っ張られるシーンは羨望を覚えた。悩んで泣いて励ましあって、ああいう綺麗な涙は10代の特権だ。ああいうシーンを見ると未成年者を見守り応援する大人の気分になってしまうと共に「ああ、オレもあんな青春送りたかったなー」と思ってしまう。まさに輝け、10代、である。
プロデューサーさん、いわゆるギャルゲーのプレイヤーキャラにしてはやたらとキャラが立っている。不審者みたいな濃い外見だけどメンバーの良き理解者で引率役の教師みたいだ。ラブコメ、ハーレム路線にならないのがGOODだ。この人の物語も中間管理職の奮戦記として通用する。この人もメンバーと一緒に成長してゆく主人公だ。
さて、今回のアニメで僕は神崎蘭子の眷属となった。萌え云々ではなく彼女の悩みに激しく共感して他人事とは思えなかった。蘭子はいわゆる中二病キャラだが自分の世界観にこだわりを持っている。自分の好きな世界はダーク・ファンタジーであり本格ホラーではない、と。しかし周囲には理解されない。これはジャンルの線引きは難しいということだ。この悩みはオタク生活20年以上の僕自身もさんざん味わい現在も継続中だ。たとえばアイドルアニメは本作アイマスとラブライブでは片やプロダクションもので片や高校の部活ものだが遠目に見たら「同じようなもの」に見えるだろう。SFアニメもヤマト、ガンダム、銀英伝とそれぞれ違うが遠目には「同じようなもの」だろう。音楽の世界ではX-JAPAN、聖飢魔Ⅱ、LUNA SEA、なんかはビジュアル系ロック、ヘビメタ、オルタナティブだが「とにかく違うんだよ、聴いてみろ」としか言い様がない。洋楽ではメタリカ、ブラックサバス、メガデスあたりが混同されがちだ。中二病的なアニソンシンガーではSOUND HORIZON、ALI PROJECT、少女病、妖精帝国、ボカロを操ってる人達や歌ってみたの人達も第三者の目には混同されがちだ。世の中「似て非なるもの」がなんと多いことか。神崎さん、貴方の苦悩は僕の苦悩そのものです、とまさに魂が共感してしまった。彼女に出会えたことに感謝、である。
この346編がなかなか面白かったので今度は765編も真面目に見てみようと思わされた。ゲームコンテンツには乗り遅れたがアニメオンリーならばファンになれた。これからは堂々とアイマスもラブライブも両方好きだ、と宣言しよう。派閥云々なんてくだらねー。SFアニメだってヤマトと銀英伝が両方好きでもいいじゃないか。カラオケで「お願い、シンデレラ」と「思いを、告げようかSNOW HARATION」と立て続けに唄ってやれ、と野望を燃やす今日この頃です。