「ガンダム Gのレコンギスタ(TVアニメ動画)」

総合得点
57.5
感想・評価
384
棚に入れた
1505
ランキング
6969
★★★★☆ 3.2 (384)
物語
2.8
作画
3.5
声優
3.3
音楽
3.4
キャラ
3.2

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

良くも悪くも不親切な

 久々の富野 由悠季監督のガンダムで、作画、演出、言い回しなど往年の富野ガンダムに
通じるものを感じさせるが、逆に言えば最近の、特にロボットアニメなどに較べると異質感が
強い。

 全体的には良くも悪くも不親切な作品といった印象。
 受け手(視聴者、読者など)は初見だが、作中世界では周知の設定、ガジェットなどがある
場合、無難なのが神視点的部分(ナレーション、ト書き)で説明してしまうことだが、新語が
出てくるたびにそれをやっていると、ストーリーが切れてしまうきらいがある。
 ストーリーの会話内で説明できるといいのだが、ひどいものになると、

「直接会わずにメールで伝えたら?」
「ああ、コンピュータネットワークを使用して、郵便のように情報等を交換する手段のこと
ですね」

 といった感じに。
 身近なメールをモチーフにした極端な例で、会話としては不自然極まりないが、大なり小なり
こういう会話はフィクション作品内で結構、目にしたりする。
 で、本作はこういった不自然な会話を極力減らしており、視聴者が判ろうが判るまいが専門
用語が飛び交う会話の中、何の説明もなくどんどん話が進んでいく。
 ただ、回を重ねていくうちに先に出た用語や状況が判ってくることも多く、パズルのピースが
埋まるような気持ち良さもある。
 そのためか、もう一度見直すとかなり印象が変わるが、詳細はどこぞで調べないと判らない
ことも多かった。

 他にも会話においては主語を省略したり、脈略なく話題が変わったり。会話以外にも
シリアスな流れの中で、関係ないシーンがねじ込まれたり、現実にありそうな自然さを演出
している印象。
 その反面フィクション作品としての整合感はあまり気にしていないようで、キャラの
発言内容や行動などは、結構ぶっ飛んだものが多く、全体的におかしな人々といった感じ。
 あえて擁護するなら、遠い未来では人間の感性も変わってきているとか。

 劇中の状況が単純でないのも判りづらくさせている要因の一つといった印象で、大きく
キャピタル、アメリア、トワサンガ、ビーナス・グロゥブの4つの勢力が登場するが、いずれも
一枚岩ではなく強硬派と穏健派といった感じで分派化しており、更にそれぞれが状況に応じて、
共闘したり、敵対するなど立ち位置が変動する。
 現実でも主義主張が同じだが方法論を巡って対立することや、逆に主義主張が異なっていても
利害が一致することで共闘することはあり、この辺に歴史ものとしてのリアリティを感じたり
する。
 こうした変遷の多さからか、中身が濃い印象があるが、2クール作品ということを考えると
詰め込み過ぎの感はあった。
 ストーリー的にも最後はそれなりに締めてはいるが、大河物語の一部だけを切り取って描いた
ような印象で、なんとなくモヤモヤした感は残ったかなあ。
 まあ、G-セルフの登場から終焉を描いた、G-セルフの物語という位置付けなのかな。

 作画の影響か、全体的にライトな印象があるが、その中で多くのキャラが死ぬし、各陣営の
やることもそれなりにえげつなかったりする。
 キャラの死に関してはそれなりの年を経た者が多いことを考えると、一種の世代交代を描いた
もののように思えたり。

 興味深かったのはスコード教や、それに伴うタブーなどの因習が幅を利かせていることで、
今より科学技術が進んでおり、宇宙を舞台にした世界だが、逆により何らかの精神的支柱が
必要なのかなと思ったり。
 トワサンガやビーナス・グロゥブのレコンギスタも政治活動でありつつ、シオニズムや
ラスタファリアニズムに通じる宗教的色彩を帯びたもののように思えた。

 キャラに関してはいずれも立っている印象が強いが、逆に突出したキャラがいなかった
みたい。
 モビルスーツを始めとするメカも、他のガンダムシリーズに較べると印象に残るものがあまり
無かった。
 もっとも小さい頃から実在する兵器が好きだったせいか、バトル要素のあるロボットも兵器と
いう部分を強く感じてしまうようで、凶悪そうなフォルムや機械感丸出しのものを好む傾向が
あったりします。そのためかファーストガンダムからいわゆるガンダムタイプの
モビルスーツにはまったく惹かれなかったりするので、かなり異端な感性だと思うけど。

 キャストに関してはクリム・ニック役の逢坂 良太氏が今までの演技とは違った感じで結構、
印象に残った。
 あとステア役のミシェル・ユミコ・ペイン氏の流暢な英語が回りから浮き上がっていて、
当初はかなり違和感を感じたが、回を重ねるごとに癖になってくる。

投稿 : 2015/11/19
閲覧 : 275
サンキュー:

4

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