蒼い✨️ さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
理想と現実。
江の島に存在し、音楽科のある高校に通う5人の男女の合唱部の物語。
思春期特有の精神の病気で大人に楯突きながらも、悩める未成年の成長を描いた話なのかな?
この作品の印象。
思春期の子の精神をよく描けているとは思いますね。
偉そうにしてても子供は人間としては半熟にすぎないこと。
現実を知り、能力に合わせた人生の歩き方を知ってしまった大人。
夢ばかり追いかけて、天井を見ずにただ走っていたい子供。
大人と子供は何故対立するのか?
子供にとって親は窮屈で煙たい存在である。
親はどんなに子供のことを愛していても、なかなか理解されにくい。
など、物語としての素材は良いと思います。
ただ、私はこのアニメに入れ込むことはなかったですね。
好きな登場人物がいなかったからというか、
好みの問題だから仕方ないです。
ギャグが壊滅的に合わなかったのが、一番大きいですし。
それでも、感動的なシーンがところどころありましたし、
瞬間的には良かったとは思うのですが。
気になったことが幾つか!
・2人の男子部員、ウィーンとバドミントンの心理描写とキャラの掘り下げ方が、
女子部員たちと比較して軽くて浅いのが残念。
女子に憎まれ口叩かれても何も言い返さないですし、大人しすぎといいますか。
ただ女に都合のいいだけの存在に見えましたね。
青春群像劇なのに、脚本家が男の子の心理に疎いのでしょうか?
OP/EDからも観てわかるとおり、設定上は5人組扱いなのにもかかわらず、
彼らは女子部員3人のオマケの域を脱することができていなかったですね。
同社制作の「凪のあすから」の、ひーくんなんか最初は酷い主人公だったけど、
ちゃんと自分の気持ちをぶつけていましたし、
合唱部員の男子2名との違いは、すっごく大きいと思います。
「TARI TARI」は恋愛アニメではないですし、作品の切り口が違うのは当然。
すべての作品が同じやり方で作られる必要は無いですし、
人物描写の好みの問題だけなのかもしれませんけどね!
・終盤の展開がやっぱり無いわw思いました。他のかたも書いてますけどね。
{netabare} このアニメのラスボスである理事長、徹底的に悪役としての地位を与えられ、
主人公を妨害するために権力を行使するという役割を与えられた、
アニメの作り手の薄っぺらい操り人形過ぎて、人間に見えなかったです。
横暴、傲慢、拝金主義者。それ以外の印象を与える台詞が1フレーズもありませんでしたし。
理事長によって決められた廃校はどうにもならなかったけど、
理事長によって握りつぶされた学園祭を主人公たちがやり遂げた。
妨害にもめげずに学園祭を決行して歌うことによってプライドは守られたよ!
屈したままだと苦い思い出とともにこれからは下を向いて生きていくところだったけど、
これで、主人公たちの高校時代は何年経っても明るい気持ちで振り返られる。良かったね!
そういう話なのかもしれないですが、手に入れたものは、ささやかなプライドと青春の思い出。
失ったものは生徒たちを守った校長が解雇されたこと。(他の当事者には何もないのに一人だけ可哀想)
教頭と亡くなった親友のお話とか、このアニメにも良いところがいろいろとあるのに、
最後の方の展開の前提が無理ありすぎると思いますし、
敵役の理事長があまりに安っぽすぎるために今まで積み上げてきたものを相殺してしまい、
物語が映えなくなって茶番っぽくなったことが非常に残念でした。{/netabare}
あれこれ考えると最終回のカタルシスが薄いですし、
もうちょっと終わり方がどうにかならなかったのかな?と思いました。
まあ、信じれば夢は叶うはただの幻想で、
ただの高校生が成し遂げた事も当事者の心以外にはなんの意味もないというのは、
ある意味リアルかもしれませんけどね。
というわけでして、ファンの方には申し訳ないですが、
私にとっては、イマイチに思える作品でした。
これにて、感想を終わります。
読んで下さいましてありがとうございました。