蒼い✨️ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ココロとココロ。
アニメーション制作:Production I.G
2011年1月~2011年3月放映。
『別冊マーガレット』で連載中の、少女漫画家の椎名軽穂さんによるベストセラー。
原作のepisode28~43、高1のバレンタインからの高2の一学期の終わりごろまで。
2度目のアニメ化で第0話~第12話までの全13話です。
かつて主役・爽子の前に壁になって立ち塞がった胡桃沢梅(くるみ)の視点で、
初回の第0話は、1期をおさらいの総集編。
1期では幸せそうに微笑んで終わった爽子と風早くん。
聖人みたいな理想の彼氏、天使みたいな心を持った彼女のイチャつきストーリーかと思いきや、
それは全くの見当違いで、二人は仲が良いけど付き合ってもいない状態。
お互いに一目惚れで好きあってて、そこは変わらないのに、
2話目にして、ちょっとした食い違いから二人の間に溝が生まれています。
最初からお互いに他の異性が眼に入らない状況から、どう話が続いていくのか2期に興味があったのですが、
なるほど!2期では、爽子と風早くんの内面が1期より鮮明になっていますね。
爽子は幼い時から人付き合いが上手く行かずに寂しい思いをしてきたことから、
人との接し方がわからない。ましてや恋人なんて出来るとも全く思っていなかった。
卑屈に見える爽子の態度も、彼女の人生経験に基づくものであり精一杯なのです。
風早くんは女子からモテまくるものの、彼女を作ったことがないから対処の仕方がわからない。
爽子のなかで偶像化された理想的な存在ではなく等身大の悩める少年として、風早くん視点の場面が増えています。
恋愛経験ゼロの二人が失敗をしながら心を育んでいく。
特に爽子なんて、恋の相談相手を間違えたばっかりに、誤解が誤解を生み泥沼にはまっていくわけなのですが、
恋愛経験豊富な親友の矢野あやねからアドバイスをもらっておけば、話がこれほどまでに、こじれなかったですね。
話をこじらせてしまった下手人。チャラ男こと=三浦健人。
2年進級のクラス替えから爽子たちと同じ組になった彼ですが、本当に凄かったですね。
頼まれてもいないのに男女の間ごとに割り込んでペラペラペラペラ。
知ったふうな口の彼の的外れな恋愛アドバイスの数々のせいで、
爽子と風早くんの関係が気まずくなる一方で、うざい事この上ない。
実際に、あんな人間がカップルに割り込んできたら、
「他人のお前が二人の問題に干渉するな」
って、男女両方からぶん殴られますよ。
しかし、結果的に三浦くんが話に割り込んだおかげで、
回り道をしながら、爽子と風早くんの仲が進展したのですよね。
顔を赤らめながらも風早くんを賛美するばかりの爽子。
自分に自信がなくて卑下してばかりの爽子。
そんな彼女が誰かを好きになって、
一人の女性として一人の男性と普通に付き合うには、
あまりにも心が幼すぎたです。
三浦くんの存在は、爽子の心の成長を促すという物語上の歯車として、
へんな役回りばかりを押し付けられた気もしますが、
他の誰もが気づかなかったことを彼が爽子に指摘したことにより、
結果的に爽子が心の殻を破り、一人の人間として前に進むことが出来たので、
三浦くんこそ2期のMVPであると言えるでしょう。
考えてみれば、どんなに好きあっている男女でも結局は他人。
お互いに何を考えているかなんてテレパシーでも使えないとわかる訳ありません。
相手を知れば知るほど嫌な部分も見えてきますし、憧れや理想だけの恋愛なんてファンタジーです。
爽子と風早くんの人間関係の齟齬は、三浦くんが存在しなくても、いずれは突き当たっていた問題ですし、
表面化と解決が早くなっただけのことです。
それらの意味で爽子と風早くんが掘り下げて描かれていて良かったですし、
1期まるごとが2期のプレリュードと言っても良いかもしれません。
やきもきすることが多かった2期ですが、
だからこそ、第8話「届け」第9話「告白」で大変感極まりましたし、
ハッピーエンドで良かったです。
爽子を演じるのが能登麻美子さんで本当に良かった。
この後も物語は、まだまだ続きますが、
とりあえず、アニメとしては良い区切りだと思います。
2期を通じて、特に「くるみ」と「あやね」が前より好きになりました。
1期序盤では悪女っぽかったくるみも随分とかっこよくなっています。
一度は過ちを犯したものの人を見る目が優れていて、
本来は真っ直ぐな性格の持ち主のくるみ。
まだ、意地悪な部分は残っていますけどね。
くるみは、例の件から自分自身の弱さと向き合えるように成長しましたね。
本気の恋だっただけに、まだまだ切なさを引きずっていますが。
爽子とは本当の気持ちを包み隠さずにぶつけ合える間柄になりましたし、
上辺だけの友情よりも何百倍・何千倍も爽子と心が通じあっていて、
これってもう、大親友じゃん?くるみは絶対に認めないでしょうけどね。
こんな関係も素晴らしいなと思いました。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。