101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
解説可能なジャイアントキリングのカタルシス
今年のラグビーワールドカップにて、
日本代表が下馬評を覆して南アフリカを撃破した試合に、
世界が熱狂したことからも分かるように、
人間は下剋上やジャイアントキリング(大物喰い)が大好きです。
本作も、特に分割2クールの前半戦は、大物喰いの醍醐味が存分に味わえる作品です。
{netabare}人知を越えた超古代文明の遺産・アルドノアドライブを搭載した、
火星のカタパルト兵器は、地球の武器では太刀打ちできないとされている。
そこを地球側の主人公少年が、計略により、
ひっくり返していくのがバトルシーンの肝。
感心するのは逆転劇の最中、彼が理屈を並べて、
攻略の道筋を解説しながら、敵を論理的に撃破していくところ。
絶対無敵とされた難敵が、主人公補正による奇跡でも無双でもなく、
冷静な観察眼と、概ね20世紀迄の科学知識の応用で、
丸裸にされていく、その一連の過程に痺れます。
彼が決して特別な立場の人間でもないというのもいいです。
そりゃまぁ、確かに友人が殺されても冷静に次の手を考えたりと、
性格は朴念仁の、変わり種ではありますが(苦笑)
彼はニュータイプでも、遺伝子操作された改造人間でもない。
アニメによくいる飛び級で要職に就いた天才エリートでもない。
(もっとも二期では{netabare}アナリティカルエンジン等によりやや超人化しますがw{/netabare})
この時代の地球の高校で必修とされている、対火星の軍事教練を含む、
通常のカリキュラムを皆と一緒に受講し、
主席を修めた優等生ではありますが、あくまでも一般生徒。
大人たちが、アルドノアドライブの前ではハリボテの如き
ロボット兵器で訓練する少年少女たちを、
まるで竹やり軍事教練でも憐れむように、諦観する中、
着々と戦場での生き残り方を、彼は身に付けていた。
キスごっこだと、冷やかす対象でしかない、人工呼吸の実習で、
確実に人命救助の術を、彼は身に付けていた。
こうした真面目な知識と技量の積み重ねにより、
必然的にサバイバルとジャイアントキリングを完成させていく…。
この感覚が最高にツボでした♪
「勝利は必然です。ラグビーに奇跡なんてありません」
~ラグビー日本代表・五郎丸歩選手、南ア戦後のコメント~
皆を驚愕させた奇跡の勝利も、
そこに至る理由が確認されていくことで必然と認識され、
語り継がれることで伝説となっていく…。
その一部始終を、少年の精緻な戦況分析とは対照的な、
ぎこちなさ過ぎる、思春期の恋愛模様もスパイスしながら満喫する…。
まったく…たまらなく贅沢なひと時です。{/netabare}