アイコン さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
パラノーマン・アクティビティ
ゾンビ特集第四弾は
『パラノーマン』
という海外の、
『3Dストップモーション・アニメーション・コメディ・ホラー映画』
です。
長い。
これ、もうパッケージとか
映画の雰囲気とかノリがモロに
『ティム・バートン』のアニメ作品の
それなのですが、そりゃそうですね。
これを作った製作陣のほとんどが、
ティム・バートンの作品を担当していた
人達ばかりだそうで。納得です。
今作はその、
『ティム・バートン』作品に通ずる
ストップモーションを駆使した
アニメなのですが、これがすごい。
初見でなんの前情報もなけりゃ、
ストップモーションだとは気づかない。
それぐらいぬるぬる動くんです。
ナイトメアとかコープスブライドとかの
ティム・バートン作品を見た時も
その動きの細かさに驚いたもんですが、
これはそれ以上に動きます。
だいぶストップモーション技術も
進化してきたようで。
で、肝心の内容はというと……。
伝えるべきテーマを重視しすぎて
物語の構成やキャラクターに
全く気を遣えていない感じでした。
設定自体は悪くないので、惜しい作品。
大まかな起承転結はしっかりしてるんですが、
設定や人物描写があまりに薄い。
内容をざっくり説明すると、
ノーマンという幽霊と会話できる少年が
怪しげなオッサンに
「俺もうすぐ死んじゃうから魔女の墓でこれ読んで魔女の呪い止めろ」
と言われて一冊の本を渡され、
ノーマンは言われた通りにするものの
彼の勘違いで失敗してしまい、
そのせいで墓からゾンビが溢れだし
町中大パニック。
その騒動や魔女の呪いを食い止めるため
主人公とその他面々がその方法を
探し出す、と言った内容。
主人公は一応、幽霊が見える、話せるといった
能力があるわけなんですが、
それがあまりに活かされず、
正直、蛇足と言っても過言ではありません。
せっかく『死者と話せる』という設定があるのに、
幽霊の力を全く借りず、
成り行きで着いてきた男女を引き連れ
その子らと解決していく感じで
話が進んでいきます。
なんか無理に主人公を活躍させるために
設定を考えたみたいな感じがして、
ちょっといただけなかったかなー。
そのキャラクター達も
個性的ではあるのですが、
あまり愛着が沸かないというか、
魅力がないんですよね。
だからこそ、
幽霊とも戯れて
ほしかったかなーって思うのです。
ま、全体を通しての物語やギャグは
なかなか面白いんですけどね、
ブラックジョークが効いてて。
それに、さんかれあの時もそうでしたが、
この手のホラーコメディ作品ではありがちな
ホラー映画へのオマージュも盛りだくさん。
主人公の携帯の着信音が
『ハロウィン』のBGMだったり、
プレンダーガストおじさんの家が
まんま『サイコ』の家だったり
(主人公の名前もノーマン・ベイツからでしょうね)
{netabare}手で壁を突き破って民衆が
キャラを襲うところなんて
まんまナイトオブザリビングデッドですね。{/netabare}
独特の緑を主色とした
色使いや魔女の設定などは
アルジェント作品へのオマージュでしょうか。
{netabare}更に、その魔女の容姿がまんま
映画版『サイレントヒル』のアレッサなわけですが、
それもそのはず、声を当てていたのが
まさかのアレッサ役のジョデルちゃん(笑)
本物がオマージュを演じてどうする(笑)
魔女裁判って設定ももそこからでしょうね。{/netabare}
BGMも、数々のホラー作品のBGMを
繋ぎあわせたような作りになっています。
こういった曲調のB級ホラーのテーマ、
自分はすごく好きです。
声優について。
海外の声優はあにこれの成分を見ての通り
メチャクチャ豪華なメンツ、
ってか俳優ばっかりですが、
日本版の声優は聞いたことがあまりない人ばかり。
でも、皆さん演技上手かったです。
ノーマンの声がちょっとお気に入りだったり。
まあそんなこんなでまたホラー作品への
リスペクトの強い作品を見れたわけですが、
ちょっと設定に難ありと言ったところ。
テンポはいいし、
展開も何も考えなければ面白いので、
おすすめ出来ない作品ではありません。
グロ描写もありますが
かなりコミカルに描かれているので
そういった描写が苦手な方も
見れる作品だとは思います。
ティム・バートンのような
ブラックでちょっと面白い世界観が
好きな方には、おすすめです。