空知 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
こんな名作を見逃していたとは
自称、純愛モノが好きとか言っておきながら、『君に届け』を実は観ていませんでした。
観て終わったあとの気持ちを一言で表現すれば、「素晴らしい」の一言に尽きます。映画でもアニメーションでも、「名作」と言われるものはたくさん存在しますが、名作と言われるだけのことはありました。
どのようなことにも、「基本」あるいは「土台」というものがあると思うのです。それは人生においても然り。このような殺伐とした時代、本来なら純粋無垢な年代が大人の悪しきありさまを当然のことのように受け止めていることがあるような気がしてなりません。
友情の大切さ、人を愛する気持ちの美しさ。真摯に未知の人生に向き合う姿勢。そして、それを支えてくれる周囲の人達のありがたさ。こういう基本を失ってしまうと、人は人としてダメになってしまうと思うのです。人間としての「土台」がこの作品には凝縮されています。
拝金主義がのさばる現実の社会。だけれど、無垢な子供時代を誰もが持っています。中高生の時、誰かを好きになって、眠れぬ夜を過したことは誰にでもあるはずです。
懐かしくもあり、今でも自分の中には純粋な子供のような心が残っているんだなと感じさせてくれる作品でした。
Wikiによると、原作者の椎名軽穂氏は、「どうしてこんな地味な作品が・・」とおっしゃっているようです。しかし、時代の如何を問わず、人の心を打つものは決して朽ちないという賛辞を贈りたいと思います。
僕は滅多に名作という表現は使わないのですが、この作品は「名作」だと思います。