ふりーだむ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
面白いんだけど、つまらない。どこかで見たことがある作品の、どこかで見たことがあるキャラたちの、どこかで見たことがある物語。
水明芸術大学付属高校(スイコー)に通う普通の学生・神田空太は一般寮で飼えない猫を隠して飼い、それがバレて「問題児」たちが集められた悪名高い「さくら荘」に引っ越すことになる。そこには様々な「問題」を抱えた生徒たちが生活していた。
やがてさくら荘に世界的な天才画家の「椎名ましろ」がスイコーに転入するために引っ越してくる。自作アニメの天才・美咲、女好きで脚本家を目指す仁、引きこもりの天才プログラマー・龍之介、そこに空太の同級生で声優志望の七海が加わり、夢・恋・希望、さまざまな色に満ちたさくら荘の騒がしい毎日が始まる。
この作品も知人に勧められ、視聴するに至った作品。かねがね良い作品との噂もあり、少々の期待を抱き、いざ視聴開始。
正直、物足りなさというか、何というか、残念感というか、なんとも言えない作品でした。
物語の趣旨は良いと思うんです。ただ、何というか、非常にありきたりというか、ひねりが無い、というか、薄っぺらいというか、平々凡々な作品だったと思います。
学祭の流れ、後半の各々の「夢」への流れ、さくら荘をめぐる問題、その辺のストーリーは良かったと思います。こんなこと書いてますが、卒業式前後は結構泣いてますが^^;
ただ、キャラの設定やその目標への流れが安易というか、雑というか、少々現実離れしていてちょっと物語に入りにくかった。
ましろと出会い、自分の夢であるクリエイターを目指す空太。しかし目指し始めて「ほぼ」すぐの企画がいくら一般公募とはいえ、一次審査突破しますかね?才能があったの?んで、次はプレゼン突破。嘘でしょ?いくら周りに天才がそろっていたとはいえ、そんな簡単なものかな、と思った。
物語の予定調和としてもものすごく安直のような気がする。
世界的画家の地位を捨て、日本で漫画家を目指すましろ。彼女の成長は物語に描かれ、さくら荘での空太との体験、経験が作品に生かされ、漫画家として成長していくのはわかった。だが、どこかで見たような「天然」設定。アニメ視聴数が少ない私でもどこかで見たことのあるような空太との恋愛模様。はっきり言ってイライラしました。
それらを含め、ストーリー自体が「どこかで見たことある」ような展開。さくら荘の取り壊し案、そして逆転、で、存続、新しい仲間。見ながらにして先が読めてしまうような展開に少々残念感が漂いました。
声優志望の七海ちゃん。彼女目線で見てしまったからでしょうかね。(べっ、別にポニテキャラだからじゃないんだからねっ!´ε`;)オーソドックスな「報われない片想いキャラ」である彼女。片想いに敗れ、2年の努力むなしく最後のオーディションにも落選してしまい、唯一救いの無かった彼女。それに対する空太の態度に腹が立つ。鈍感というか、天然というか、見ている限り、物語当初、空太の憧れの娘だったと思う。それとも夢を追いかけ頑張る彼女から目が離せなかったのか。それにしてもイブの一件や失意の中、一人雨に濡れる彼女への対応。思わせぶりにもほどがある。それでも笑顔で振るまう七海がかわいそうすぎて、涙が出たくらい。七海にもましろにも同じような態度をとることが片方を傷つけることぐらいわかりやがれ、という感じで。最後の仁さんの言葉や、もう一度夢を追いかける姿が描かれていてもまったく「救われた感」が無い。これがイヤ。
美咲と仁の恋模様は良かったと思います。美咲に認められないまま付き合うことを許せず、認められるため一人自分を磨くことを選んだ仁と、その仁を振り向かせるために頑張る美咲。心模様が丁寧に描かれていたと思います。
反対に龍之介とリタのふんわりふわふわな恋愛模様も良かった。何せ龍之介の声が堀江さんだということにビックリ。堀江さん、、、さすがです。
卒業式やましろのさくら荘の画の演出はすごく良かったと思いますし、最終回の後日譚的な内容も良かったと思いますが、その分、間に何が起こっていたのか、全く記憶にない。個人的に「AB」や「あの花」を見た気分。最後の最後に急に内容を詰めすぎて、それまでの話が印象にない感じ。
イブの件についても、もうちょっとイブまでの全員の心の葛藤を描いても良かった気がする。イブの振りがあって、翌回にいきなりイブって。。。ちょっと詰めすぎ。
この作品のファンの方には申し訳ないのですが、悪い作品ではないと思うのですが、アニメ作品として全体的に良いとは思えなかった。普通に面白かったとは思いますが。いかんせん前半~中盤の内容の薄さにもったいなさを感じました。もっと全体的に重厚感が欲しかった気がします。すべてが予定通り過ぎて逆につまらない。もっと意表を突いたようなところが欲しかったです。
原作には続きがあるようなので、どうなるのかは気にはなりますが、「どうしても見たい」という気にはならない、かな。
決して「冷めた目線」で見たつもりはありませんが、ましろの天然へのイライラ感、空太の鈍感へのイライラ感が妙に鼻について、この二人が最後まで好きになれませんでした。ましろの天然ボケや、空太の絶妙なツッコミは嫌いじゃないんですけどね、予定通り過ぎる七海の報われなさ感が切なすぎて見ていられない感じ。それを増幅するほどの七海の良い子感がこの二人を余計に嫌いにさせてしまったような気がする。
面白いんだけど、つまらない。どこかで見たことがある作品の、どこかで見たことがあるキャラたちの、どこかで見たことがある物語。
それがこの作品における私の感想ですかね。いわゆる「思ってたほど、、、、、」というヤツですかね^^;