てけ さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
流れよりも場面を!
オンラインゲームと現実が交叉する世界を描いた、アクション&アドベンチャー。
人気作の2作目。
今回は泣けました{netabare}(マザーズ・ロザリオではなく、ファントム・バレット編でだったのですが){/netabare}。
正直なところ、視聴前は単なる中二病俺TUEEE物語で終わるのかと思っていました。
まあそれも間違ってはいないのですが、話のオチの見せ方が良かった……。
- タイトルや音楽
- 演技
- かける時間
など、本気で感動させようという気概が感じられました。
内容は予想が付くんです。
よくあるパターンというか、冷静に考えると陳腐な内容かもしれません。
伏線もいかにも後付けっぽい。
しかし、雰囲気にすっかり飲まれてしまいました。
基本は「主人公最強!」な空気が全開。
そんな中で弱さを見せられたり、困難に立ち向かっている姿を見せられると、ふっ、と持って行かれます。
ギャップって大事なんだなぁ、とつくづく感じます。
さて、いくつもの旅を経て、キリトの周りには多くの仲間ができました。
がんばって味方を増やしていったというよりは、多くは勝手に付いてきたというイメージがありますw
それでも帰る場所が増えるってのは見ていていいもんです。
今回はこの「帰るべき場所」というのがクローズアップされていた気がします。
「冒険」と対になるのは「故郷」だと思うんです。
旅立つためにはスタート地点がなければいけない。
旅が終わったらゴール地点がなければいけない。
SAOではそういった「帰るべき場所」に対するこだわりが強く見られます。
{netabare}
- メンバーが集まるバー
- SAO内で過ごした家
- スリーピングナイツ
- 現実世界そのもの
- 仮想世界そのもの
細かいことではアスナの母親が済んでいた家などもそうでしょうか。
{/netabare}
そして、その場所は一箇所に限定していません。
たとえ仮想世界でも、関わり合うのは現実に生きている人には変わりない。
仮想世界での精神的な経験は、その多くが現実世界の経験にフィードバックされる。
その経験をわかりやすい形で見せられるのが、仲間であり、故郷であり、それを描いたシーンなんだと思います。
ただ、シーンを丁寧に描いている反面、ストーリーは駆け足気味です。
この作品、ひとつひとつのシーンのクオリティが高いのですが、つながりをさらっと流してしまう印象があります。
きれいな写真を並べただけで、動画にはなっていない、みたいな。
ストーリーの流れや心理の動きをじっくり見せてくれればもっと盛り上がると思うのですが……。
物語全体の勢いがなくなってしまうからでしょうか。
今作は大きく分けて3つのシナリオをから成り立っています。
もし2つに削ればもっともっと話しにのめり込ませることができるでしょうし、終わりの感動も大きくなると思うんです。
話を順番に見せなければいけない、という制約からくるのかな。
このアニメには細かい不満が多くあり、重箱の隅をつつき始めると穴だらけで元がわからなくなりそうです。
見ている間は「このまま進んで大丈夫なのか」という不安もあります。
しかし、見終わってみると、うまくまとまっていたような印象を受けます。
全体の流れより、場面のイメージがずっと強く残るからでしょう。
ヤジを入れながら見ておきながら、見終わったら「おもしろかったよ!」という反応が返るという、なんとも結果オーライな作品です。
文句をいいつつ、楽しめたし、感動したし、この先どう進んでいくのか楽しみにしていきたいと思います。