kUZck19059 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ヒロインの窮地に現れるヒーロー。ベタだが・・それがいい。
「妹達編」が見たいがために観ました。御坂はこのシリーズでは「うまくいきそう」→「はい、だめー」の繰り返しで「賽の河原」のごとくイジメぬかれます。とうとう闇落ちし、「自己の死」でもってこの無限ゲームの終止符を打とうとします。そこで満を持して上条さんの登場です。もちろん「ベタ」と言えばそれまですが、私は14話「鉄橋の対話シーン」に「ヒロインのピンチを救うヒーロー」という演出の「極地」を見た気がしたのです。受け手にカタルシスをもたらすためには、どうしても御坂をイジメぬく必要があるのです。
どんな困難が繰り返し訪れても、彼女は愚直に立ち向かい続けます。しかし、苦しみのあまり、いつの間にか「妹達を救う」という当初の目的が、「自分の義務を果たして早く楽になる」という目的に彼女の中ですり替わってしまいます。それを象徴するのが上条に電撃を打つ直前に彼女の口からこぼれでる「もう、それ(自分の死)でいいじゃない・・」です。しかし上条は許してくれません。その「救い」の対象に御坂も含まれなければならないと譲りません。そして「誰も傷つかないでみんなで帰る」という彼の夢を手伝って欲しいと彼は告げ、その言葉によって、彼女は独りで抱えてきた重責から解放され赦されます。と同時に、地獄を這いずり回る御坂と自分を重ね合わせていた視聴者の心にもその体験をもたらします。
だからこの物語は、妹達の解放を描いたファンタジーであると同時に、「責務に縛られた人間の心の解放」を描いた寓話でもあると思うのです。