退会済のユーザー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
巧いこと作ったなぁと。
TV版を昔に完走したっきりの状態で視聴。
予想よりも楽しめました。
と言ってもそれは、そもそも僕がTV版にそこまで良い印象を持っていないからに他ならないワケで……。
今作において僕が一番驚いたのが、ホランドら月光号の面々の設定。
TV版におけるホランドは八つ当たりでレントンに暴力を振るうような、精神がガキのままの情けないキャラクターで良い印象をもてなかったのもあって、この劇場版での【見た目は大人だけど心は17歳の子ども】という設定に目から鱗が落ちる。
また、主人公のレントンにしても、TV版はどうも鬱々とした世界観に引っ張られていまひとつレントンの魅力が目立たなかった。
が、本作では青臭い子どもらしさ全開で、彼の言動は非常に好ましく映る。おまえ何度エウレカの名前を言えば気が済むんだよってぐらい連呼してたもんね。「I Can フラァァァァァァイ!!」が出てこなかったのは残念だけど。どう考えてもドミニク先生の最期の言葉は「I Can フラァァァァァァイ!!の方が良いでしょ。
その代わりと言ってはなんだけど、レントンとエウレカの初々しいやり取りは本編になかった見どころ。もうね、すんごい甘ったるい。甘酸っぱいんじゃなくてね、甘いんだよ。ストーリー上の立場で言えばロミオとジュリエットだから、甘苦いんだけど。
で、肝心のストーリーの方はといえば、正直ちょっと難解。
これはまぁ、二回観ればほとんど理解できるとは思うけど、一回目で把握するのは難しいんじゃないかなぁ。レントンとエウレカの置かれた状況は分かるんだけど、彼らをとりまく環境や舞台の方にまでは頭が回らないかな……。
でもよく考えたらTV版だって4クールやりながらも正直よく分からなかったし(最終話のレントンとエウレカのやり取りに誤魔化された感があった)、これはあまり問題じゃないと思う。
僕としては、ラストがいまいちだったかなぁ。
エウレカが消滅せずに済んだとはいえ、記憶を失くして精神が幼児化した上に、おそらくレントンと長年過ごしてきた『エウレカ』が消えてしまったのは事実なワケで……うーん、最後のレントンの表情が切ない!
そういう作品だと言われればそれまでなんだけど、なんとなく僕の中で【エウレカセブン】という作品は、そういう、世界のどうしようもないものを愛で吹き飛ばす、スペクタクルラブストーリーモノなので、もうちょっとスカッとするハッピーエンドにして欲しかったかも。
ともあれ、劇場版に相応しいスケールのお話にアレンジしながら、尺の中に巧いこと落とし込めた良作じゃないかなと僕は思うよ。
報われない運命にあるエウレカの、可愛さ。
一人の少女を一途に思い続けるレントンのカッコ良さ。
この二つは、少なくとも劇場版に軍配は上がっているだろう。