蒼い✨️ さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
青少年向けガンダム。
アニメーション制作:サンライズ
2015年10月4日 - 2016年3月27日に放映された全25話のTVアニメ。
監督:長井龍雪 シリーズ構成:岡田麿里
「あの花」コンビが作る新しいガンダム。
【概要/あらすじ】
“厄祭戦”と呼ばれる地球圏全体に甚大な被害を与えた巨大な戦禍が集結してから300年後の世界。
“厄祭戦”を終わらせるために尽力した有志が起源の治安維持組織“ギャラルホルン”
地球の各国の武力紛争が起きないように監視する“世界の警察”が仕事。
しかし、その権限と軍事力は巨大で政治力を持った特権階級化しており、
組織の腐敗が進行中。
“火星”…テラフォーミングより地球と似た環境になった居住可能惑星。
地球から搾取され続けている植民地であり、貧困層が多い。
“鉄華団”…主人公たちとガンダムが所属する組織。物語中で発足。
【目的】
鉄華団が火星独立運動家のヒロインを地球に送り届けることで、
地球と火星の経済格差を解消し、火星に住む人々の権利と教育などの機会を手に入れる。
【感想】
意図的に“富野由悠季監督”とは逆を狙っている感じ。
火星の劣悪な環境で汚い大人たちに奴隷のように使われて、仲間の死に立ち会ってきた子供たちが、
今よりマシな未来を手に入れるために武器を手にとったり、ガンダムに乗って権力と戦う物語。
スペースノイドとアースノイドの思想対立とかニュータイプによる人類の革新とかいう、
そういう世界とは関係ない主人公たち。
文字も読めない連中が殆どなだけに、賢しいことを言わないし彼らの欲求は本能に対して純粋ですね。
金が欲しい。名を上げたい。今よりいい暮らしをしたい。家族にいいものを食べさせたい。
親が存在しないから主人公は肉親に失望しないし。
主人公は最初から落ちつているから、女に怒鳴り散らしたりしない。
リーダーは兄貴分で組織内はみんなタメ口で敬語を使わない。
いきなり殴りかかったりするガミガミうるさい年長者が味方にはいない。
身内に大人がいても、技術者だったりして子供たちを導く存在ではない。
登場人物の描き方が富野監督とは全く違うアプローチ。
主人公たちの目的が“火星の独立運動家のヒロイン”を、
地球に無事に送り届けると一貫してわかりやすいですし、
キャラ設定や物語を現代人向けにカスタマイズしてしまうと、
本当に富野要素が全然無くなっちゃうんだなって感じでw
敵を倒す理由も、
『俺達の進む道の邪魔だから』
『ウザいから』
『殺さないとしつこいし、手加減する義理なんてない』
相手の都合も事情も関係なくぶっ潰す!!
『お嬢さんの活動が火星の未来に繋がるから』
一番忘れてはいけないことがこれですけどね。
まあ、戦いから日本の倫理観を一切廃してるのが恐くもあり清々しさすら感じたり。
そういや不殺主人公()とかいうのも過去のロボットアニメで在った気がww
この作品は戦争アニメとして主人公たちの描き方に偽善っぽさが皆無で良かったような気がします。
自分たちが出来ることを確認していくという感じで、変に理想を振りかざしたりしなかったですし。
綺麗事担当のヒロインも、主人公たちと行動することでリアリストの面を育んでいきましたしね。
逆にね…このアニメは大人が状況に踊らされるだけの情けない存在ですね。
基本的に、
・たくましくも力強い主人公の少年たち
・大多数の大したことのない平凡な大人
・腹に一物を抱えた一部の大人
三種類の人間しか、このアニメには存在しなくて、
例外は鉄華団の賛同者・協力者ぐらいなものでして、
年上だから頭が良いわけでも偉いわけでもない、
人間の優劣は個人の資質!
噛ませには噛ませの人生しかないという描き方でして、
単に若者にウケるためだけじゃなくて、
人間観察眼でこういう側面が有ることも否めなくて、
観ていて考えさせられる作品でした。
脚本家はそこまで考えて書いてるのかはわかりませんけどねw
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。