「櫻子さんの足下には死体が埋まっている(TVアニメ動画)」

総合得点
70.1
感想・評価
937
棚に入れた
4981
ランキング
1647
★★★★☆ 3.6 (937)
物語
3.6
作画
3.8
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.5

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ネタバレ

migratory さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0
物語 : 2.5 作画 : 2.5 声優 : 2.0 音楽 : 1.5 キャラ : 1.5 状態:今観てる

秋の夜長に、紅茶とケーキとミステリー

まるで映画を見ているかのように感じさせる世界観のあふれる映像美が魅力的です。
3話で、これまで僅かに感じてた違和感の謎が解けました。


主人公は「骨」に関する興味が人一倍著しく、蝶頚骨を美しいと言う標本師の九条櫻子。許婚がいるらしいです。
死体を見たあとに悠然と夕食を食べるつもりの主人公たちのハートが強すぎて…

舞台が北海道旭川市となっていますが、「死体」という言葉を扱っておりイメージ的に実際の町を取り上げることに関して悪い気がしてならないので少し心配になります…

余計な推論(余計なお世話ですが、感想とともに)
{netabare}

桜が印象的に劇中に使われる一方で、OPに感じていた違和感が3話でやっとぬぐえました。
それはOP曲を聞いて、これはカワルミライ(神様のメモ帳の主題歌)だ!と思ったということでした。
物語的にも夏であったし、OP曲の明るさが夏らしさを感じさせるものでした。
その分、1話で強調された桜の存在感がよく分からなくなりました(桜の木の下にはよく死体が埋まっているという迷信みたいなものがこのタイトルとも結びついていることもあって、切り離せずにいたからかな?)。

神秘的に、存在している桜の花の可憐さが、この物語のイメージともなりえているのがCM等前情報で見て分かるものになっていますが、死体になった「骨」というものが、それとは似ても似つかない悲惨さであふれていることを感じました。

どうにも払拭できない夏感とともに、少し大人であるはずの櫻子も子供っぽさを余計感じることになってしまって、死体(骨)収集という理解しがたい趣味嗜好も、さほど異常さを感じない、偏屈な人物ながらにも理解できるものになっていると思えるので、随所に見せる頭蓋骨を語っているときの雄弁さはオタク的な感性であることが伺えて、櫻子という人間にミステリアスな部分はなくなっていきました。

それと同時に、櫻子の存在の語りべとなっている正太郎の語りが必要なく感じられ、正太郎の人間性のほうがミステリアスに感じられます。
しいては、櫻子と正太郎の二人には危なっかしさを感じるものになって(これも夏っぽさの魅力の一つ)、物語的には大人的な立場の人が必要なのでは?と感じました。

余計な推察ですが、正太郎のミステリアスに感じる部分には心があるのに心がないのでは?と思うところがあり、櫻子に惹かれるところもそうなのですが、死体運び(一応は動物ですが)の手伝いを通りすがりの人(鴻上)に間接的にもさせていたので、次第に櫻子の影響を受けていってることの描写なのではないかと思う1話の冒頭場面でした。
異常な愛情を秘めているのではないかと感じる点がどこか危うい人物になっていると思います。
また、櫻子のことを「過去に生きた人を慈しむ者」だと語っています。


反対に、櫻子に関して言うと、死体に関する興味にはどこか可愛らしい一面を見せています。
見た目には髪が長く目がきっちりとしているのでオーソドックスなミステリアスを感じさせる人物に映るのですが、巷には残念な美人という言葉がありますが、どちらかとオタクという言葉が似合います。
謎を解くときの幻想的でカラフルな場面は、たとえば京アニ制作の「氷菓」のミステリであったならとても印象深い演出で青春の情景とも上手く重なっていたものであったのに、「死」や死以上の側面が見える「櫻子さんの~」の場合、そんな幻想的な挿入では、何かこのまま受け入れてしまってはいけない思いを抱きました。
大人のミステリというよりは、どこかで見たことのあるミステリものになっているのはそういった演出が効果的にあるためだと思います。

変人とミステリー、という今となっては目新しくはないミステリーの組合せとなっているものですが、骨に関するところの着眼点と、どんなジャンルになるだろうかとの想像をさせるところが見る前では大変興味深かったのですが、主人公にオタク的な感性を感じるためか、どこか不十分な人間性を以ってして物語が進んでいくことに違和感を感じています(※オタク性が悪いのではなく、人間や人間関係に興味はないという前口上があったのに、事件を解くために積極的に人々と関わるという触れ合いの場面があるという矛盾があって、そこで生じる葛藤がなく解決へと進んでいくことに、前口上である導入部分など印象付けようとしていた、詩的で刹那的な描写となっている桜の存在感、また、そういった世界観はなんだったのかというミステリーが逆に生まれてしまったので、「骨」を取り扱った部分が妙に浮いていると感じる…尺の問題かなぁ)。

所々に、お茶をするのに好都合な食べ物(ケーキやスイカ、お茶菓子等)が登場してくるので、原作小説を読みながらお茶をするのが本来楽しむべき適切なスタイルなのではないか、と思われます。
また、そういうスタイルに合った人が楽しめる物語?とも思案しています。

個人的には、磯崎齋が怪しいですね(何も事件は起きていないのに・・・CVはあの人なので)。
大人のミステリを謳っているので、一応ミステリーものだと思うのですが、虚構の中のリアルの中に虚構を持ち出されてしまうと何か違和感を感じてしまいます。
具体的には、舞台が北海道らしいので、リアルの中の虚構にある作り出されたリアルに持ち出された虚構(どこかで見たようなもの)という良く分からん構図になってるとインスピレーション的には感じたので、もう少し虚構を大事にして欲しい思いも抱きました。
シックなものをイメージしていただけにちょっと残念です。

万人受けするような、テレビドラマを見るような仕様に仕上がっていると感じました。
同時に、これがベストな演出だったのかなぁとも感じました。
かといって、頭蓋骨を愛してやまない主人公というのは不謹慎極まりないのだけれど。
{/netabare}

投稿 : 2015/10/27
閲覧 : 225
サンキュー:

2

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