とろろ418 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
論理と感情、天才と凡人
【3話まで視聴】
単純にアニメというメディアでは開拓不足のジャンルなので、こういう作品が増えるのは喜ばしいです。
欲を言えば、小説における叙述トリックのような、アニメ特有の手法が生まれるところまでいって欲しいですけど、流石に難しいですかね。
内容については、原作読んでしまっているので、ノーコメントで。
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【視聴後】
細かいところが端折られているので多少の説明不足感はありますが、よくまとめられていたと思います。
まず注目すべきはキャラクターですね。
小説の中でもミステリーものはキャラ立てが必要な部類に入りますが、本作ではこれがしっかり行われています。
3人の関係性も面白いですし、それぞれが自我とそこから生じる矛盾を抱えているのがいいですね。
ストーリーとトリックについては、まあ普通と言っておきましょうか。
特に私の場合、そっち関連の知識があったので、理解はできるけどその分面白さ激減でしたし。
さてはて、問題の哲学表現について。
ここで好き嫌いが大きく分かれるとは思いますが、私は前者です。
理由としてはちゃんとした論理のもとに語られている哲学だから。故に解り易く、難解でもある。
よくあるなんちゃって哲学でもないし、語ってはいないけど表現されている哲学なんてのもあって、視点を少し変えるだけでも面白い。
例えば、天才という表現について。
{netabare}皆さんはこの作品の中で、天才と呼ぶなら誰だと思いますか。
やはり真賀田四季でしょうか。作中でもそう語られてますし。
では、彼女の娘、真賀田ミチルはどうでしょう。
作中では天才ではなかった。と語られていますね。
四季は天才で、ミチルは凡人。……本当に?
実はこういう見方もできるんです。
ミチルは天才ではなかったが、四季に劣る存在でもなかった。
歳なども考慮すれば、寧ろミチルの方が優れていたと言えるのかもしれません。
そもそも天才とはその他大勢の比較対象があって初めて確立する存在です。
四季にはそれがあったが、ミチルにはそれがなかった。ただそれだけ。
言ってしまえば四季は地上に生まれた天才であり、ミチルは天に生まれた天才。
四季が天に焦がれ、ミチルが地に焦がれるという対比が多分それを表現しているのかと思われます。
(四季もそれを理解していたから、ミチルにウェディングドレスを着せたのかもしれませんね。凡人の夢とも言えますから)
天才とは、他人が祀り上げる虚像であって、そう呼ばれる存在も境遇が異なればただの凡人にもなり得る。なんて感じに。{/netabare}
あとは個人的に、『自由になりたい』という観点が良かったですね。
私も、頭の中だけで生きられたらどんなに幸せだろう、と考える口ですので。
総評としては、評価は受けにくいかもしれないが、決して悪くない作品というところ。
過剰なまでのお気楽趣向に飽き飽きしている私にとっては、1シーズンに2枠くらいは欲しいタイプですね。
まあ十中八九売れないでしょうし、難しいですよね。
クラウドファンディングとかで上手いこと出来ないのかな。でも、リターン問題とかが生じるだろうし。うーん。
ああ、未来にそう呼ばれるであろう天才が、画期的なシステムを作ってくれないだろうか……。