oneandonly さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
シビュラが問いかける治安維持のあり方
世界観:8
ストーリー:7
リアリティ:7
キャラクター:7
情感:6
合計:35
人間の精神を数値化するシビュラシステム管理下の2112年、新人監視官の常守朱と執行官の狡噛慎也は、ある大事件の黒幕・槙島聖護と出会う。狡噛は自らの信念を貫き槙島に復讐(ふくしゅう)を果たした後、姿をくらます。2116年、日本政府が輸出したシビュラシステムを内戦状態のSEAUn(東南アジア連合)が実験的に導入するが、SEAUnから日本へテロリストが送り込まれ……。
(公式HPより)
以前から視聴したかった作品で、週末に時間があったので視聴しました。
虚淵玄氏の脚本ですので、ストーリーには最初から安心していましたが、一部に映画向けとも思える派手な演出(ちょっとグロいシーンや、アクションで)などありつつも、必要なリアリティを保ったまま着地させており、楽しめました。
狡噛のその後は描く必要があり、海外に飛んでいるのも不思議ではなく、日本で一定の成果を収めているシビュラシステムが世界展開されていくのは自然な流れ。日本以外の世界各国がみんな荒廃しているというのはちょっと違和感がありますが、そうでもしないとシビュラをそのまま導入するなんて国はない(当然、シビュラをブラックボックスにしたままでは無理)でしょうから、これも巧い設定です。
{netabare}そして、独裁者や軍人の犯罪係数が高く、シビュラシステムを導入するとなれば本作のような展開になることも自然です。
今回、軍人たちは犯罪係数がOVER300でしたが、戦争等で命令や正当防衛的に殺人をできる(未遂含む)人に対する、シビュラの犯罪係数はどうなるのでしょうか。もしこれがOVER100(潜在犯)になるのなら、いくらでもいて収拾つかないですよね。
一方、シビュラは人間の頭脳であることを考えると、殺人をケースバイケースで問題ない行為だと認めてしまうのは怖いというほうが一般的なようにも思います。
遺伝子レベルの素質によって機械的に判別され、その人それぞれの考えは反映されないのであれば話は早いのですが、サイコパスの値は恐怖に怯えた時等に変動しているので、その人の感情や考えというものも材料に判定されているのですよね。どんな風に測定されるのか考えると、ここは突き詰めると難しい設定なのかもしれません。
今回はシビュラに助けられるシーンもありました。シビュラも悪くないという面を出し、どのように治安(世界平和)を守るのかを双方から考えさせられます。現代は民主政治が基本ですが、衆愚政治にもなりかねないので、シビュラ(スーパーコンピューター)が名君であればそれもアリとも思えます。
また、最後のあたりですが、狡噛だけでなく宜野座にもポジションを与えてくれていました。今は上下関係が逆になりましたが、朱のことを心配してきた思いは彼のほうが深いはず。良いシーンでしたね。
狡噛は戻らず…。この作品自体、今後もシリーズで続いていきそうですし、出てきたり出て来なかったり、という感じで進むのでしょうね。ファンは多そうなので、恋愛に発展するのは難しそう。
あと、朱のサービスシーンが結構多かったような(女性にしたら狡噛の肉体美もそうかも?)。「萌えやエロはない」と言われる作品ですが、製作者側はいかに萌えに傾かず、色気のないエロさ(これはエロではないか?)を表現できるかを追求しているようにも思えてきました。{/netabare}
EDに「名前のない怪物」が使われたのは嬉しいですね。静と動を併せ持つアップテンポな曲は好きです。
欲を言えば新展開や主要キャラ以外に脇役を育てる描写があれば良かったと思いますが、第一期が好きな方なら楽しめると思います。
(2015秋視聴→2017.6調整)