どらむろ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ゾンビがいる19世紀末舞台のスチームバンク冒険活劇。魂の在り方がテーマかな?
執筆途上で早逝されたSF作家・伊藤計劃(いとう・けいかく)先生の小説が原作のスチームバンクです。
原作未読です。
フランケンシュタイン博士などの19世紀末の創作上の有名人が実在し、死者を動かして労働力にしている世界を舞台に、屍者(親友)の魂を求める医学生ワトソンが大冒険します。
19世紀末+謎テクノロジーのスチームバンク+ゾンビ
です。ゾンビ物としてかなり迫力満点でコワイです。
…元ネタ(フランケンシュタインやワトソン等の小説の知識)知ってた方が楽しめそうです。
{netabare}『物語』
死者(本作では「屍者」)に偽りのプログラム的なモノを注入して動かし、この屍者が労働力や軍事力として普通に世界中で受け入れられている…という、とんでもない世界観にまずビックリ!
時代背景は19世紀末、大英帝国やロシア帝国や大日本帝国が繁栄していた産業革命時代。
我々の世界と違い、高度なんだか古いんだかよく分からん謎テクノロジー(いわゆる「サイバーパンク」)+ゾンビで世界が繁栄している…ものすごい世界観です。
主人公の若き医学生ワトソン博士は死んだ親友を屍者にして、今は魂の無いロボットに過ぎない彼を、いつか本物の魂を取り戻す事を追い求めていく…。
ゾンビ物…と思いきや、ロボットSFでの古典的なテーマ(魂の在り方や人間性)に通じるテーマを感じました。
屍者技術の開発者である天才科学者フランケンシュタイン博士(小説のキャラですが超有名人)が残したという手記に、死者に真の魂を吹き込む方法がある!?
手記を求める旅路の果て、ワトソンがたどり着いた答えとは…!?
手記を求めて英国からアフガンや日本と世界を股にかけての大冒険!
軍事用ゾンビの猛攻撃に晒される戦闘シーンが非常に波乱万丈かつコワイ。
これ、ゾンビ系のホラーアクション物として想像以上の迫力でした。
波乱万丈な上に、次第に破滅のスケールがでかい戦いに巻き込まれる終末観で飽きさせませんでした。
…ただ、「ここは任せて先に行け!」なテンプレがちょっとクドかったかも?
クライマックスならともかく、何度もその展開だったのでw
…ただ、何故、死者の復活が禁忌なのか?結局、魂の在り方とは?
ちょっとよく分からず…難しかったです。
機械人形でも人間らしかったり、屍者もプログラムではない感情が本当はあるのか?それとも偽りの魂なのか?
はっきりとは答えが出せない感じ、それでも求め続けるのか?
フライデーの慟哭、そこには魂があったのだろうか?ワトソンの幻想か?いや、もしかして…?
面白かったのですが、視聴後、色々と疑問が湧いてあまりスッキリはしなかった。
かなり深いテーマの力作なのは確か、視聴後カタルシスがあるタイプではないのですが、噛みしめていきたい作品でした。
…余談。
死者を労働力に…といえば、箱庭シミュレーションゲームの「トロピコ2」思い出します。
配下の島民を死んだ後もゾンビにして働かせる…鬼畜ですねぇw
でもゾンビは賃金も食料も要らんので超便利なんですよねぇw
2015夏にアニメ化された「オーバーロード」でも、アニメ後の原作では帝国がアンデッドの労働力化計画進めてたり(もし2期あれば観れるかも)。
『作画』
ゾンビが蔓延するスチームバンク、素晴らしい作画でした。
スチームバンクも良いのですが、やはりゾンビがコワイ!
特にゾンビに詳しいワケではないのですが、迫力も動きも凝っていた。
『声優』
ワトソンの細谷佳正さんの配役は「ハル」から、探究者の青年を好演されました。
フライデーの村瀬歩さんは喋れないゾンビ…からの暴走や苦悶、迫真の熱演でした。
ハダリーの花澤香菜さんのミステリアスな美女、バーナビーの楠大典さんは大人のタフガイ良かったです。
大塚明夫さん、菅生隆之さん、二又一成らベテランが渋い。
『音楽』
主題歌「Door」はそこそこ主題を感じました。
BGMが良かったです。
『キャラ』
ワトソン博士は主人公としては可もなく不可も無し、でも親友の復活の為に邁進したのは凄い。
ただ、禁忌の迷いと親友復活の渇望…の葛藤は、意外と地味だった印象も。
フライデーは喋れないゾンビなのに、ワトソンより存在感ありました。
美青年ですしね。
ハダリーはテーマ的にも本作のヒロインに相応しかったです。
バーナビーはしぶといタフガイで頼れる。
ちゃっかり生き残るとは!
山澤静吾大尉も頼れたが、あの深手で生き残るとは予想外…
ヘルシングやフランケンシュタインやホームズなどの有名人多数なので、知っていると何か嬉しいです。
カラマーゾフやザ・ワンなど、業を背負ったキャラな印象。
全般的にキャラ立ってましたが、凄く印象的な程では無いです。{/netabare}