oneandonly さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
独特の輝きがある作品
世界観:7
ストーリー:7
リアリティ:6
キャラクター:9
情感:6
合計:35
創造の力を司る“はじまりの樹”と、破壊の力を司る“絶園の樹”。“はじまりの樹”の加護を受ける魔法使いの一族の姫宮にして、最強の魔法使い鎖部葉風は、同族の左門の謀略により、樽に詰められ絶海の孤島に置き去りにされていた。
一方、高校生の滝川吉野は、1ヶ月前に失踪した親友の不破真広を追う謎の女と出会う。真広は何者かに殺された妹の復讐をするために、葉風と“ある取引”をしていた――。
(公式HPより)
まどマギのlive reactionでお世話になったDTさんの動画にUPされたため視聴開始。あにこれでは161位(2015年10月10日現在)の作品のため、きっかけがなければ見ていなかったかもしれません。
基本的には、作画が綺麗でキャラデザインが良い(これは自分の好みということですが)、特に主人公の吉野と真広が格好良いところがウリの作品だと思います。吉野はステレオタイプ的な良い子ちゃんではないし、真広も自分の筋を通すことに信念を持っており、単なる悪ぶっている奴ではありません。ビジュアル以上に内面から人間としての魅力が見えてきます。
ダブルヒロインも存在感があります。{netabare}真広の妹の愛花は少し超越した言動をしますが、それも後に説明がつきます(化物語のひたぎを思い出しましたが、こちらは兄や彼氏に対してなので許容可能)。最強の魔法使い葉風は恋をしてキュートになり、人のために動くことで他のキャラ以上に人間らしさを見せました。
これらの4名はとにかくキャラが立っていますし、これに左門(いい意味でイメージが変わっていきます(笑))ら脇役も良い味を出してくるので、見ていて飽きません。ハムレット等の引用が随所に出てくることもありますが、ちょくちょく台詞に重みが感じられ、雰囲気も良いです。
自分のアニメ評価は、世界観の項目について、日常系は7点を上限にしています。日常系でも名作は多いのですが、非日常を容易に表現できるアニメというジャンルでは、世界や人間を日常では測れない角度から抉るような作品を前向きに評価したいと考えているためです。
この作品では、時空を超えた通信やテレポート、魔法等の非日常要素があり(テレポートやタイムパラドックスあたりは詰まっていないようにも思うのですが)、文明を破壊するはじまりの樹の設定(単なる敵ではなく「試験」であるという)がありました。
過去に文明が崩壊したとか消えたという話はオカルト的な分野で聞いたことがありますし、例えば、現在の地球における異常気象も、考えようによってはそういうものと捉えることもできるかもしれません。我々自身がなぜ生きているのかということも、過去生や魂の世界のカルマのためという考え方もありますね。プラスマイナスあり、7点としました。
私がこのストーリーで重大にして唯一納得がいっていないところは、愛花が易々と自分の死を受け入れるところ。自分が絶園の魔法使いで、その力の使い方もマスターしているのであれば、自分がはじまりの樹を倒せば良いのではないでしょうか。
吉野に対する思いは描かれているので、別れは辛いはず。なので、更にこの部分も納得させるならば、死後の世界も知っているような台詞を葉風と対峙したシーンあたりに入れておけば良かったかもしれません。
さて、この物語は殺人の犯人を探す推理要素が物語の冒頭を牽引し、彼氏が誰かという問いが世界の命運を変えるシーンではシリアスにギャグを入れてきますし(ある意味リアル)、ラブコメもあり、色々と盛り込んでいますが、綺麗にまとめられていると思います。吉野の彼女が愛花だということを真広が知ったシーンが、丁寧に描かれていたのは特に良かったです。
細かいところでは、絶園の樹復活が悪と思わせるための設定は、クロガネ病でなくても良かったんじゃないかと思ったのと、最後の政府の対応、世界を破壊してきた樹を守るために艦隊まで出すか? と思いましたが。{/netabare}
音楽は、1クール目のOP「Spirit Inspiration」はノリの良い曲で良かったですが、英語は微妙か(Nothing's Carved In Stoneはサイコパスの2クール目のOP曲も作っているバンドですね)。2クール目のED「僕らの歌」は徐々に気に入ってきました。
<2022.8追記>
アニメをたくさん見るようになり、確かに面白くキャラデザのハマった作品ではありますが、私の物語への思い入れを踏まえ、少し下げました。
(2017.2、2022.8評価調整)