ぽぽんぷぐにゃん さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
まさしく2012年神アニメの代表作
本作とその続編には一点、他の2012年作品にはない、過去にも例を見ない独創的なきらめきがあった。
それは、「物語が進むにつれて、幾重もの変貌を遂げた点」である。
開始前から『どこかのRPG』顔負けの≪デスゲーム≫の臭いを漂わせていた本作であったが、
開始後に検証が本格化すると、その個性を何度も大爆発させることとなった。
冒頭から、リアルな登場人物が一切物語に絡まず、何の説明もなくファンタジー世界で生活する≪ファンタジー≫の側面を存分に発揮し、
中盤以降は、死亡と隣り合わせの戦闘を行う≪ウォーゲーム≫へと変化。
その途中からは、主人公が最強になっている≪主人公最強もの≫になっており、
クリア後のステージでは、SF世界にて火器によって戦争を行う≪FPSゲーム≫が開始する。
そして、帰還後の主人公たちは、学校などで様々な友人と付き合う≪リア充アニメ≫として開花。
ついには主人公がバイクのみならず、株などで社会的に成功する、文字通りの≪主人公は勝ち組≫と化してしまった。
その後もボーナスステージとばかりに叩けば叩くほど埃が乱舞し、魑魅魍魎のネタ要素が続々と噴出。
リアル世界で主人公やヒロインが出世する一方で、魔法世界で主人公らがゲームをしゲームで魔法が乱舞する≪魔法ファンタジー系≫にまで発展。
この通り、本作は回ごとに進化することで、オタクを翻弄し、魅了し続けたのである。
これまでの神アニメ作品にも、複数の分野で強みを持つものは存在した。
SFセカイ系の走り『ハルヒ』や、SFと魔法の要素を併せ持つ『まどマギ』もしかりである。
だが、それらは最初からある程度全貌が見えており、印象が何度も変わることはなかったと言える。
それに対して『SAO』は、検証が進むごとに変身ヒーローの「フォームチェンジ」さながらに大きく姿を変えた。
しかも、そのどれもが一本のアニメとして成立し得る戦闘力を誇っており、歴代の名作を彷彿させるものだ。
過去作の要素が一つ一つ鮮やかに浮かび上がるその様は、大いにオタクを沸き立たせ、同時に、これまで歩んできた足跡を辿る充実感を与えてくれた。
本作はまさに、過去の狂宴を振り返る節目としてふさわしい、奇跡の「お祭り神アニメ」であると言えよう。