ぽぽんぷぐにゃん さんの感想・評価
3.7
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
SAOとは対照的
『アクセルワールド』は正しく迷作である。
本作は、他のアニメには見られない特徴を有していた。
それは、長所になりえた点を数多く持ちながら、そのことごとくを捨て去った「悲劇性」である。
「中学生がSF世界で戦うシーン」を、謎のおもちゃで遊ぶシーンに改変。
同じSAOはせっかく名作賞を取得しているのに、共通点である「オンラインゲームで遊ぶシーン」を改悪。
そして最後に、『謎のタイアップ』の存在だ。
本来であれば本作への期待を高めてくれるはずのタイアップすらも、果てしない虚無への扉でしかなかったのである。
随所に可能性を感じさせながらも、その全てを脱ぎ捨て、クソとなり果てていくそのさまは、
さながら、身を飾るヴェールを次々と脱ぎ捨てて破滅への舞を舞う、「サロメ」のごとくであった。
こうして『アクセルワールド』は原作ファンの期待を見事に裏切り、不名誉な賞に輝いてしまった。
だが、奇しくも戯曲「サロメ」の作者、オスカー・ワイルドはかつてこう言っている。
「話の種にされるよりも悪いことがたった一つだけある。それは、話の種にもならないことだ」、と。
その点で本作は、見事に大役を果たしたと言えよう。
美しくなりえたものが滅びへと向かっていく悲劇は、語り継ぐにじゅうぶん値するものであった。
わずか四半期でめまぐるしく輪廻する深夜アニメ作品の中で、
『アクセルワールド』という存在は、「SFアニメ」の生きた証をしっかと人々の記憶に刻み込んだのである。
見事賞を勝ち取った『アクセルワールド』と、本作の製作者に対して、最大限の拍手を贈りたい。