「魔法少女まどか☆マギカ(TVアニメ動画)」

総合得点
90.9
感想・評価
10595
棚に入れた
37490
ランキング
45
ネタバレ

ぽぽんぷぐにゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

大丈夫、私達の人生はQB製じゃない。

2011年の名作アニメの審議は非常に難航した。作品全ての実力が高い上にそれぞれが突き抜けた要素を持つ特化型であり、さらにほとんどの作品が立て続けに放送された為、情報が圧倒的に不足していたのである。
これに対し、勇敢なるアニメハンターが出撃、数多の犠牲の果てに審議は進められた。
そのような中でこのアニメが大賞となった決め手は、その圧倒的な「革命」と「前衛」がもたらす「混沌さ」にある。
当初このアニメ、子供向けなら文句なしでつまらないが大人向けとして用いれば多少マシだろうと推測されていた。
ところが実際大人が視聴した結果予想外の報告が内外から相次いでもたらされたのである。
評価の不安定自体はこの種のアニメの宿命ともいえよう。
だがこのまどマギのもたらす混沌ムードは、通常の「アニメを崩壊させすぎた結果」ではなく、むしろその逆なのであった。
イベントもただ数が多いだけでなく質もすごい為すぐに天井が見えてしまい、何度も同じ話をみることのない道中が続く為、自然と発狂に陥りやすい状況が常に付きまとう。
さらに戦闘による非常なテンポの悪さも特筆すべきもので、戦争で死者が発生する度にガッカリの種が激増、「なにこのうつアニメ」と思わず叫びたくなる中盤には、もはや「魔法少女」要素はどこにもなくSFムードがファン間に蔓延する。
しかもここまで長引かせておきながら結末はハッピーエンド。これまでの絶望は何だったんだと言いたくなる結末が待っている。
大人向けのアニメでありながら、高確率で雰囲気をぶち壊し、無理に続行などしようものならムードもろとも粉砕しかねない破壊力を秘めたこのアニメ、その危険度は自分一人が耐えればよい他の作品の比ではない。
おかたい先生のような事は言いたくないが、このアニメについてだけは「危険な遊び」と言わざるを得ないだろう。
だがこのアニメをみた結果もたらされる「絶望の間」「心理破壊」は所詮副次的なものにすぎない。
この真髄、それは、年齢によらず「魔法系アニメそのもの意味」にある。
魔法ものというジャンルでありながら、このアニメはとにかくSF的要素がちりばめられている、「似非SF」なのである。
少女は基本ただエネルギー的に宇宙人に搾取され、
挙句の果てには人間からモンスターに変異する。

ただのSF作品ながらもお決まりの世界観に沿っている「IS」「シュタゲ」以上に、
「そのジャンルのアニメ」とは一体何なのかを我々に問いかける哲学の領域へと踏み込んだ「まど☆マギ」。
こと「複雑である」ことにかけては他の追随を許さない「近年の魔法アニメ」であったが、もはやアニメを見ていると呼べるかすら危ういこの「混沌さ」が決定打となり、辛くもこの大激戦を制する事となった。

投稿 : 2015/10/10
閲覧 : 246
サンキュー:

4

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