ぽぽんぷぐにゃん さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
良作(笑)
1995年の「エヴァンゲリオン」、2011年の「まどマギ」……
戦乱の時代に遡ったかのような大戦争を立て続けに受けた日本アニメ界隈を2014年に待っていたのは「クソアニメ」と呼ばれる世界から来た黒船『魔法戦争』による身の毛もよだつ侵掠であった。
苦行と称されるドラマ性、尽きることのない電波の嵐……
終わりのない苦しみや絶望という暗黒面において、本作もまた最強の名に相応しい猛者であったと言えよう。
「怪作なんて1本も出ないのが一番良い」
とある勇者が遺したこの言葉を、これほど実感させるアニメはかつて無かったかも知れない。
しかし、そんな平穏を祈る思いは早くも打ち砕かれることとなる。
魔法戦争終了からわずか数週間後の4月、突如吹き荒れた季節外れの熱風が日本アニメの門を破ったのである。
ラノベアニメ渾身の『棺姫のチャイカ』。
直訳で「棺姫のカモメ」というタイトルに恥じない果敢なファンタジー精神は、一部のマニアに絶賛された。
例えば舞台設定であるが、舞台は中世ヨーロッパを模したした地域で、名称にいたってはヨーロッパ語が羅列するというもの。
他方、戦闘以外の面でもテキストにできないような試みが随所に散りばめられている。
肝心の成果はと言うと、「売り上げをどう数えても上位には程遠い」という驚異的な知名度の低さが光る。
何やら良作扱いされているが、実写ドラマの売り上げにも満たない売り上げでは何の説得力もなく、
そもそも本作には「映画化」はおろか、タイアップされるような可能性が何一つない。
一方でクソ要素と思しき描写は異常に多く、ネット上のアマチュアアニメとよく似た臭いが漂っている。
なお、成果を挙げた甲斐もなく、一部のレビューサイトでは「存在する必要がまるでない」とバッサリ切り捨てられており、キャプテンアースを巡って双方のファンを罵る様な発言が飛び出す一幕もあった。
勝負の行方はあえなく玉砕と相成ったと見るべきだろう。
本作は「ほとんど褒めるところがない」という、クソアニメ界隈でも類を見ない特質を持っており、これが底辺争いの成功の決定打となった。
例えば『キャプテンアース』の場合、長所は声優と描写と名言が豪華なことだけであるが、これも一つの長所には変わりない。
また、CGについても、塗りはさておき線画はSF作品にふさわしいものであり、ファンにとって一応は評価できる点であろう。
それに対して『棺姫のチャイカ』は、努力が成果に全く活かされていない。
グラフィックは今時のアニメとは似ても似つかないぐちゃぐちゃなものであり、
構造がおかしい戦車が戦場を走り回る有様である。
誰もが羨む高級素材を手にしながら、調理一つで全て台無しにした手腕には感服せざるを得ない。
なお、開発会社の「ボンズ」は過去にも同じような理由で低評価を果たしており、
今回の評価により、迷作界の「安打製造機」として恥じない地位を確立したと言えるだろう。
そして、『まじしゃんずあかでみぃ』などと、優秀な「怪作」を立て続けに輩出しながらもタイトルに恵まれず、ある意味名誉ある称号を手にした原作作者には最大級の賛辞を贈りたい。