あおい さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
虚淵 玄の色が濃く出ている作品+全話感想
全話感想は最下記に記載。
【ここからは最終話放送前までのレビュー】
この作品のシナリオはニトロプラスの虚淵玄。彼の作品らしく、メッセージ色とキャラクターの役割がしっかり、はっきりとした作品となっている。
まず、この作品に対して「グロい、鬱アニメ」という感覚は大きな間違いであり、ストーリーの大局観とは別方向の視点である。
大量の血が流れる訳でもなく、第二成長期過程の女子中学生が考えうる程度の反応と対処での展開しかしていません。全ての元凶であるインキュベーターが悪役ではなく原理上、善人であるにも関わらず、感情論や人間の倫理的展開で「悪人」に仕立て上げられているところからも、「思わせられるアニメ」という事が理解できる。
願い事を1つ何でも叶えることが出来る上で
「魔女の存在を否定する」
「インキュベーターの存在を否定する」
「この宇宙サイクルを否定する」
という願いの一切が出ていないところからも「人間は利で動く」という事を原点に考えられているストーリー構成になっている。
タイトル名「魔法少女まどか☆マギカ」の名前の由来は、まどかが魔法少女になるので、ではなくまどかがいかに魔法少女に成らずに済むか、だと言える。
それを阻止するのは、ほむらであり、ここで多世界解釈が用いられています。ここで、虚淵はロマンチズムに傾倒している作家ならば、ハッピーエンドへと向かうが多世界解釈の量子力学方程式に従うならば「あらゆる事象について、一般的な解釈と多世界解釈で予測される結果に差は出ない」という事になり、上記に書いた願いをせずには収まらない。
「登場人物が多くなりすぎると面白くない」との虚淵の考え通り、キャラクターは役目を終えると死亡するが、起承転結での重要なファクターとなりストーリーを盛り上げている。
人間の自己都合で自分達は「正義」同じ事をされたら「悪」と分別する最悪は「人間」であることに気づかされるアニメ。
地球上のほかの動物・植物・生物に人間が行って来た悪循環に悲しむものは少なく、人間社会の人間同士なら悲しいと思う自分勝手な人間社会に、インキュベーターという正義の天使が舞い降りたときに、もがく人間の儚さを思い知ることができる。
「奇跡も魔法もない」努力をしなければ何も無い。これにつきるアニメ。
【ここからは全話視聴後の感想】
おおかたの予想通りのシナリオであって胸をなでおろす。
虚淵健在というところか。
無茶なシナリオへと転換することなく、合理的かつ理論的な結末へと転じていったところに、最大の評価を送る。
今年もまだ半年以上の時間が残っているが、間違いなく2011年を代表するアニメとなった。
近年稀にみる名作中の名作と言って過言ではない。
感動とまどかの勇気と希望と愛情で、心を満たしていただいた。虚淵、、、ロマンチズムも素晴らしいではないか。この作品は一生忘れまい。