あおい さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
見なければいけないアニメ
エルフェンリートはオーストリアの作曲家フーゴ・ヴォルフが
1888年に発表したElfenlied(妖精の歌)から来ています。
各話ごとのタイトルはすべてドイツ語。
オープニングの曲はラテン語で歌われていて
その曲にあわせてオープニングアニメーションはオーストリアの画家である
グスタフ・クリムトを模して作られています。
アニメ中に登場するディクロニウスは人間からの突然変異の進化とされています。
アニメ自体がヨーロピアンカルチャーに影響を受けているのが良くわかり
テーマやストーリー自体に哲学的なものを感じます。
不条理、不合理、差別、偏見、権力などが人間世界の腐敗悪として
絶妙に描かれていてその中で生まれたディクロニウスは
ニーチェの思想を彷彿とさせます。
一部にはニーチェの「超人」理論と言う人もいるかもしれませんが
私はWille zur Macht(権力への意志)だと思います。
「我がものとし、支配し、より以上のものとなり、より強いものとなろうとする意欲」
があらゆるものの根源であるとしたニーチェ。
真理は不変のロゴスとして存在するものではなく
力への意志によりその都度産み出されていくものとしています。
地球上の全ての力関係(動物、人間、自然、神、科学)の上で
常に新しい力が生み出されていく。
この概念をディクロニウス誕生の根源としている感じです。
常に死が付きまとう物語での状況下でも
絆と愛の深さを最後まで表現している近年稀に見る名作中の名作です。
表面上のグロばかりが目立っていますが物事の本質は表面でなく
中身にあるのだと言う人間的にも成長させられるアニメです。
表面ばかりではなくこのアニメは多角度的に見てください。
オープニング曲のリリウムは現在、世界中で聖歌として昇華しています。
原作とアニメでは差異がありますが、どちらも申し分なく傑作だ。