まーさちゃ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
最近観たアニメではNo.1
原作は最初の1巻だけ読んで、あとは未読。
クラシック音楽やピアノのことなんて何も分からないけど、最初からグイグイ引き込まれるものがあった。
有馬公生という天才ピアニストが、母親の死を一つのきっかけとして、自分の弾くピアノの音だけ聞こえなくなり、ピアノをやめてしまう。そんなある日のこと、自分の友人のことを好きだというバイオリニスト・宮園かをりと出会い、運命の歯車が動き出す…。これは、そんな物語。
おそらく、全22話の最初から最後までを、簡単に文章にして、「このアニメはこういう内容です」と説明すると、大体の人が「ふーん」っていう感想しか抱かないと思う。それぐらいプロットとしてはありふれたものである。
「ネタバレを先に見ないほうが良い」とレビューする人もいるが、正直、かなり序盤のほうである程度結末は見える。実際のところ、筆者は先にネタバレを見てしまったが、それでも普通に最後まで飽きずに見れた。このアニメは、序盤に張った伏線を終盤になって回収し、最後の最後で大どんでん返しをぶちかまして観る人全てをあっと驚かせる類いのものではないと思う。結末を知りつつ、最後まで飽きずに見れたのは、それ以外の部分がずば抜けていたからだ。
まず、ピアノやバイオリンを弾くシーンの描写がかなり凄い。筆者は音楽についてはズブのど素人だが、そんな素人が見ても、ひとつひとつの指の動きや、演奏者の表情・仕草、会場の雰囲気・空気感・臨場感、それら全てが非常に正確かつ迫力的に描写されているのが分かる。まるで、実際に音楽コンクールの会場に居るかのような感覚にさえ陥った。これには参った。
また、人間関係の見せ方が秀逸。複雑な恋愛関係の話となると、時にむさっ苦しいぐらいの感情表現が、これでもかというぐらい大風呂敷を広げて展開されるのだが(それが鬱陶しくて堪らないのだが)、このアニメはそうではない。悪い言い方をすると、そこらへんは結構あっさり描かれている。個人的には凄く好印象だった。
また、一人ひとりのキャラのポジションが非常に明確で、それぞれに重要な意味を持っている。それでいて、過不足がない。これは近年観た作品の中では一番凄いと思った。
ここ数年以内に観たアニメの中では間違いなくNo.1。