Progress さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
日常を取り戻す為に頑張るアニメ
あにこれさんでも多くの高評価を受けているこのアニメ。
2010年に放送されて以降、見返したことがなかったのですが、縁あってDVD-BOXを借り受けた為、見返してみました。
【感想】{netabare}
色々な要素があると思うので箇条書きにしてみようと重います。
【魅力のあるキャラクター】
岡部倫太郎・・・中二病。いざとなったらやる人。ラボメンの事を誰よりも大切に思っている。まゆりの事を守るために何度でもタイムリープを繰り返す。その仲間思いな所が最大の魅力
椎名 まゆり・・・岡部の人質(幼馴染)。コスプレイヤー。癒しキャラ。
橋田至・・・絵に描いたようなオタク。スーパーハッカーにして岡部の右腕。のちに阿万音 鈴羽との親子関係が明らかになる。鈴羽を見送った後の決意のような言葉と姿がとてもかっこいい。
牧瀬 紅莉栖・・・ネラーにして天才。どこか抜けているのが魅力
その他のキャラ・・・追記予定
【音楽】
オープニングテーマ
「Hacking to the Gate」
ストーリーと関連付けられた歌詞が、多くの考察をすることが出来るものとなっています。OP映像に関しても多くの考察がなされていたのを思い出しました。
エンディングテーマ
刻司ル十二ノ盟約
こちらもストーリーと関連付けられた曲。ED映像も意味深で考察が多くなされていた印象でした。
【伏線をまきながら深みにはまっていく展開】
一話から伏線が大量に仕掛けてあり、最終話でその伏線を回収する展開は、見る人に驚きを与えることは間違いないでしょう。
一つの話でラボメンたちの願いを一つずつかなえていき、また一つ話数を使ってラボメンたちの願いによって変わった世界を戻していく構成が、伏線を回収するために、とても自然なストーリーの流れを与えているように見えます。
【意味深な伏線を散らばらせ、不安感や恐怖を煽る】
岡部の携帯には、時折脅迫めいたメールや恐怖を煽る画像が送られてきます。視聴者も不穏な気配を感じ取り、「怖いもの見たさ」で物語の深みにはまっていっています。
また、岡部が脅迫めいたメールをもらうのは夕方~夜にかけてです。人間は夕方~夜にかけて、何かあると不安を感じることがあると思います。作中内でも夜にすることで、夜に感じる不安を煽っているのだなと思いました。
さらに、時々入る、岡部の夢なのか紅莉栖が語りかけ、岡部が時間が歪められているのをみたり、まゆりの謎のゲル化や砂漠のような所にいるまゆりの夢が、視聴者に「作品世界で何が起きているか」「これからどうなるのか」について多くの興味を持たせ、考察させようとしてる事が伺えます。
【岡部のラボメンへの思い】
岡部は、「友達がほしかっただけかもしれない」と本音をポロッということがあります。
岡部はラボメンを大事に思っていて、まゆりを救う為に、ラボメン達の願いをなかったことにしてしまうことに大きな罪悪感を感じている所に人間味を感じるのが岡部最大の魅力であると思います。ここに「前の世界線の事をなかったことにしてはいけない」という最終話での大きな伏線が隠れていますが、岡部の心理に目を向ければ、仲間達が他の世界線で体験したことを、仲間達との思い出をなかったことにしたくない。そういった決意のような思いや犠牲の上になりたつ今への罪悪感が言葉の端々から伝わってきます。
この心理に関してはまゆりや、紅莉栖は「記憶をなくしてしまう側」から、寂しさを岡部に伝えています。まゆりはラボメン達との楽しい日常が忘れてしまうのは悲しいと、紅莉栖は名前をちゃんと呼んでくれたことを忘れてしまうんだねとさびしそうにいいます。
その思いも全てまゆりの命を救う為に、岡部が犠牲にするわけですが、仲間達の思い出を犠牲にしてしまった分、岡部の心に強く仲間達への気持ちが増しているのがタイムリープ後の岡部から伝わってきます。
【日常パート、思い出の蓄積】
日常パートはコミカルで恋愛話も挟んだ、見やすいものとなっています。日常パートで楽しい思い出があるからこそ、タイムリープすることにためらいを感じたり、岡部のラボメンへの思いが強くなる理由だと思います。
【最終話付近での岡部の奮起・なかったことにしてはいけない】
このアニメでの一番の見所です。一度は折れた岡部がまゆりの叱咤と未来の自分を見て、立ち直る。
自分達の日常がここにあると半端にあきらめて、紅莉栖が死んでしまうのを受け入れてしまっている時点で岡部はやりきれない感を感じています。ですが、一度紅莉栖を救うのを失敗し、完全に敗北することで、もう一度やり直したとき、何が何でも成功させる為の精神を得ます。
紅莉栖を生き延びさせる道を選んだ岡部は、自分が紅莉栖がいた日常をなかったことに出来ないことを理解し、その感情をぶつけるためには、世界を欺き、紅莉栖を救う事を決意します。日常を取り戻す為に、いつもの中二病キャラに戻るのは、それが岡部の日常だからでしょう。「特に意味はない」という未来の岡部とのやり取りも、何気ない日常にこそ、大切なのだというメッセージ性があると思います。
救う方法も「なかったことにはしない」やり方です。ここまで話と方法を絡めて、さらに伏線を回収することまで含め作られていることに感動しました。
【全体的な感想】
コミカルな日常シーンが印象に強く残っていましたが、再視聴後は、キャラの内面、伏線、一貫したストーリーの原動力を読み取ることが出来ました。
やはり、もう一度見たいと思わせる力を持っている丁寧な話作りがされた
アニメだなと思います。このアニメを見ると、信頼できる仲間達と過ごしてきた何気ない日常の思い出がいかに大切なものかが気付かされます。
以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 {/netabare}