Progress さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
勇気を出して
喋れなくなった少女と高校生達の本音を引き出す物語。
{netabare}
成瀬順は喋ることが出来なくなった女の子。
幼少期の彼女の口からは言葉が止まらないいわゆるお喋りであり、
誰にどんな言葉を言えば傷つくか、理解できていなかった。
人は誰しもが、失って学ぶ物なのでしょうか。
成瀬は失うことを恐れてましたね。
言葉を発する限り、人を傷つける。
傷つけて人が離れていく怖さを感じた成瀬。
人に嫌われる、意図しなくても。なら言葉を発さなきゃいいじゃないかと。
自分の性格が、おしゃべりで、無神経な事を隠せばいいじゃないかと。
ひた隠しにしようとするほど、人は成瀬を理解することが出来なくなっていき、母親にも、同級生にも遠い成瀬が出来ていました。
成瀬の中では、自分が喋れないのは卵のせいとしていたけど、自分のせいだとしたくはなかった。
代役を用意するようなそんな性格だから、好きな人に自分の事を理解して欲しいという心も生まれた。
この心はエゴで、成瀬の自分を隠す心とあい反した。
自分の「好き」と言う感情を相手に知ってもらいたいのに、
伝える術を使えず、それは卵のせいだと、自分の性格を隠して誰かのせいにする。
でも心の中で思うことを伝えたい。心の中が「好き」って感情でパンクする成瀬。
確かに欲にまみれてる。でも、誰かのために声を張ってやれるワガママで優しい所が、成瀬順の良いところ。
成瀬が坂上に振られたのは、坂上に仁藤という心に決めた人がいて、嘘でつくろわず本音で対応されたからでしょうか。
だから、坂上君と仁藤さんは、自分があの時ダメだった気持ちを打ち明けて、最終的にヨリを戻せたのでしょうね。
なんにしろ、この作品は本音を言う勇気の出なかった高校生達が、本音を言えるようになるまでの過程を描いた作品です。
言葉は傷つけるのも、傷つくのもある。ですが、本音で語らなければ、その人に近づけない。その勇気を見せてもらいました。
人を言葉で傷つけてしまった事。人の目を気にして言えなかった事。言えずに心に留まっていた事。言わないといけなかった事。
そういう記憶に残る後悔をくすぐる作品でした。
田崎君がいろんな人に謝れたことが、私には一番響きましたね。私は謝れなかったから。
{/netabare}