セレナーデ さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
後日譚に近い
そういえば「日本は唯一の法治国家」って設定あったよね、という思い出しがきっかけだったのかは知りませんが、海の外へ舞台を置いた本作。武装したテロリストが密入国したことをきっかけに、常守さんが東南アジアへ。シビュラシステムが試験的に導入され始めた紛争国、そこでコウガミさんと再会、そして政府の影に不穏な匂いを嗅ぎ取り、かつてのコンビが巨悪に立ち向かう――。
ってあらすじで書くと面白そうなんですが、実際見てみると感想としては、なんかセリフばっかだったなあっていう。
状況も犯人の思想もタネあかしも全部口頭で説明してて、アクション作品を観てる快感を得られたのは一部肉弾戦シーンのみ。銃撃戦もあるにはあるんですが、モブが的にされて肉の塊と化していくのを眺めさせられるだけと言っていい作業感が漂ってるんで、爽快感や緊張感は希薄でした。
でもってこれ、続編というには前作からほとんどドラマに進展がないのもさみしいところ。
個人的にはコウガミさんのその後を描くだけでは『サイコパス』の続編には足りえないと思っていて、やっぱ描いて欲しいのは「シビュラと常守さんとの決着」とか「その後の日本社会の推移」とか、1期で残した課題に対する何かしらの答えとか進展。
常守さんってキャラは、「考えなくていい」が発達した社会のなかで唯一シビュラの正体を知ってしまったがために、シビュラや法の在り方にについて考えなくてはならなくなった人なわけで、その唯一無二のドラマをどう料理していくかってところに、『サイコパス』という作品の伸び代があると思うわけです。
その点でいうと常守さんは前作から変化も成長もしておらず、クライマックスで「やっぱ先人を尊重して法律は守らなきゃいかんぜよ」という1期ラストと同じ内容のセリフで締めてたのは新味がなくてちと肩透かしでした。
今回シビュラがやったことも「発展のためならこっそりヤバいことのひとつやふたつやっちゃうよ」っていう、まあ前回とほとんど同じ姿勢でしたし、続編というよりこりゃ後日譚に近い内容ですな、という気が致しました。
しかしまあ、全く進展がなかったわけでもなく、最後の最後には{netabare}シビュラが常守さんに対し妥協する{/netabare}という、ちょっぴり前向きな未来を予感させるシーンが組み込まれたりしてて。
肉弾戦の作画は明らかに気合の入り方が違ってて、よかったですね。肉弾戦において義手はもぎ取られてなんぼ、というツボもちゃんとおさえてあります。