おぬごん さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ファンと一緒に歩いて行きたかったのでは?
モバゲー版アイマス、通称「モバマス」もしくは「デレマス」の分割2クール目
1クール目のスケジュールが逼迫しすぎてやむを得ず分割2クールになったという噂は本当なのでしょうか…
1クール目はシンデレラプロジェクト(以下CP)のアイドルたちがアイドルとしてひとり立ちするまでの物語でしたが、
2クール目は新たにプロダクションのトップに就任した美城常務との対立と、CPの中でも主人公ポジションの、島村卯月の葛藤が描かれます
常務の描くビジョンは、アイドルからバラエティ性を排除し、かつてのように皆が憧れるスターとして売り出す、というものでした
これは様々な色物アイドルが登場する本作の大部分を否定するだけでなく、肥大化を続ける現代のアイドル事情をも否定する考え方で、非常に面白かったと思います
急進的すぎるやり方は典型的な無能上司のようにもなりかねませんでしたが、作中で常務のやり方で結果が出ていることを強調することで何とかメンツを保っていましたねw
それに対し、自分たちのやってきたことを否定されたアイドルの面々は反発するわけですが、
その理由は「自分のやりたいこと=ファンの望むこと」となっているから、というものでした
15話で高垣楓が言っていた「私はファンの人たちと歩いて行きたい」という言葉が印象的ですね
確かにスターになればより多くのファン、成果を挙げられるかもしれないが、今までのファンを突き放しかねない
15~17話ではCPに属さない人気アイドルたちのそうした事情が丁寧に描かれ、またその姿がCPのアイドルたちにも好影響を与えるようになっていて、安定しつつも非常に良い構成だったと思います
ですが、卯月の葛藤を描いた後半の展開には疑問が残ります
CPの仲間たち、特に同じユニットの未央や凛が自身の成長のためにそれぞれの活動を始め、取り残されて墜ちていく卯月
周りが頑張って個性を発揮していくのに自分だけが取り残され…という展開自体はまあ良いのですが、
これで泥沼に陥った卯月、仕事をキャンセルしまくるんですよね
これって仲間たちやプロデューサー、仕事に関わる大勢の人たちに迷惑をかけたばかりでなく、アイドルにとって最も大切な、ファンまでもを裏切る行為ですよ
「100%の仕事ができないなら諦めるのもプロ」という意見もあるかもしれませんが、
復帰ライブの時、卯月はファンに謝罪の一言も無く、ステージで立ち直る時も目の前のファンをガン無視して、一番後ろで見ているそれまで散々支えてくれた仲間たちの視線に頼り、
やっと口を開いたかと思えば、お決まりの「島村卯月、頑張ります!」
…これじゃ、とてもじゃないけど感情移入できませんよ
それまで他のアイドルで描いてきた、ファンと共に歩む姿勢はどこに行ったんですか
例えば1クール目の未央は1stライブの後、せっかく来てくれたファンを「少ない」と愚弄しますが、
その後、最終回にはファンのありがたさに気付き、涙を流しました
こういった描写があれば…例えば復帰ライブでファンの声援に気付き、一言謝った後に「頑張ります!」なら、印象もまた変ったんでしょうがね…
そもそも1クール目から見ていても、卯月が他のアイドルと比べてどこが良いのかが伝わってこないんですよね…よく言えば普通、悪く言えば凡庸
プロデューサーは彼女の笑顔をことさらに褒めちぎりますが、
作中の「笑顔なんて誰でもできる」という卯月の台詞には、思わず「せやな」って呟いてしまいましたし…
ですから、卯月を切り捨てようとする常務の方が正論に思えてしまうんですよ
ぶっちゃけアニメの女の子の笑顔が可愛いのなんて当然なんです
ですから、卯月の、卯月ならではの魅力を、もっと描いておく必要があったのではないでしょうか
あとは分割2クールな上に、2クール目の終盤に2度も特番を組み込むスケジュール管理の杜撰さ
いくら固定ファンがいるからといって、「仕事」を扱う作品で、納期を守れないのはどうなんですかね…w
作品の熱を完全に奪っていたように思います