ムッツリーニ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
動かないままなら始まらないから
おそらく富野監督による最後のガンダム。
時は宇宙世紀からリギルド・センチュリーに移り千年余り。地球上のエネルギー源であるフォトン・バッテリーを宇宙よりもたらす軌道エレベータ、キャピタル・タワー。それを守護すべく組織されたキャピタル・ガード候補生のベルリ・ゼナムは、初めての実習の最中、いずれの国の技術でもない高性能モビルスーツ、G-セルフの襲撃を受ける。かの機体を操縦していたアイーダ・レイハントンと名乗る少女との出会いを経て、ベルリは世界の広さを知ることになる。
――と、あらすじはこんな所ですね。
所謂富野節と呼ばれる、富野監督作品独特の言い回しでかなり解りづらいですが、このお話はつまるところ「世界を広げていく物語」なんですね。
1話1話と進んでいく毎に舞台が移り変わり、それまで自分が知っていた世界とは違う場所へ飛んで行く。それは世界が広がっていくということであり、そこがこの作品の根本的なテーマなのでしょう。
そしてある時アイーダが天に浮かぶ月を指さし「あそこまで行こう!」と持ちかける。それは今まで一切が謎に包まれていたフォトンバッテリーの製造方法を知るためでもあったのですが、あの月の向こうにある物への好奇心も多分に含まれていたことでしょう。
ベルリ達はとうとう宇宙へと飛び出し、月へと向かう。ただそこに待っていたのは、地球と同じように暮らし燻ぶる月の人々であり、結局彼らもフォトンバッテリーの受け渡しを行う仲介人でしかなかったという事実。落胆と失望を胸に帰途につく一行でしたが、その中でベルリは一人、新しい挑戦を見つけていた。
月には行ったのに、地球の事はまだ何も知らないと気付いたベルリは、今度は自分の足で世界を巡る旅に出ることにしたのです。
まだ知らない世界を見に行くために一歩踏み出し、スタートを切って走る。その先に未来があるんだと、この作品はきっとそういう事を言いたくて、それを徹頭徹尾ブレずにずっと語り続けているんでしょう。
……もし私に子供がいたらぜひ見せたい作品の一つですね、これは。絶対理解できないと思いますけど。