おぬごん さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
第1話で衝撃を与えることには成功したが…
日常ものの皮を被って話題をかっさらった、ゾンビパニックもの
ゾンビに触れずにこの作品を語ることはできないので、この点についてはネタバレ全開でいきますねw
このご時世ネットで色々な情報が飛び交っているわけで、
正直私も、視聴前からこの作品がゾンビものであることは知っていました
ただこの作品の第1話は、そうした「ちょっと知ってる」層さえも逆手に取るような構成を取っているんですよね
いつ始まるのか…と退屈でちょっと不快でさえある日常ものを見させられていると思ったら、実は既にコトは始まっていた…と
この第1話の仕掛けは本当に見事だったと思いますし、割れた窓に代表される伏線を確認したり、驚きやショックを共有するために、ニコニコ動画の第1話の再生数が伸びまくったのも納得です
ただ、この「日常+ゾンビ」という設定が、どうも足枷になっていたように思うんですよね…
1話以降は、心が壊れたゆき、ゆき以外の反応に違和感のあるめぐ姉、そもそもの事件の発端、そしてサバイバルに適しすぎた学校など、あからさまな謎、言い換えれば話の軸が提示されているのですが、
ゆきが唐突に提案する「日常」要素が、これらの解決を邪魔してるんですよね
くるみ「○○が××なんだ…」
りーさん「気になるわね…どうにかしなきゃね…」
ゆき「運動会をやろー!!」
りーさん「しょうがいわね~。くるみ、その件はまた後で…」
みたいな感じ
これが最終回まで続いていくもんですから、何というか、話をうす~く伸ばして尺を稼いでいたような印象さえ受けてしまいました
それに「そもそもそんなことしてる場合じゃないだろ!」的なフラストレーションも溜まりますしね
ただある程度の起伏を持たせつつ、しっかりと12話でまとめたことは素晴らしいと思います
ですので、日常成分をもう少し押えて、あと一山二山欲しかったところです
あと一点だけ突っ込ませて欲しいのですが…
なんで建物の高い所の外壁までボロボロになってるんだよ!
階段も碌に上れねーゾンビが届くわけねーだろ!!
【以下、ゾンビものに関するどうでもいい雑感】
そもそもゾンビものって「復活」信仰のある土葬文化に根ざしたものなんですよね
仏教の影響が強く火葬文化にある日本人にとっては「死体」というのは日常の外にあるため「死体が起き上がる」という恐怖にいまいちピンと来ないところがあると思います
ジャパンホラーと言われる「霊魂」ものが受ける日本で、ゾンビものがマニアックなB級の域を出ない扱いを受けているのも、その影響が強いのではないでしょうか
そんな中、日本で唯一と言っていい大衆受けしたゾンビものが「バイオハザード」です
バイオでは「生物兵器による感染」というゾンビ発生と拡散の明確な理由を提示したことで、ゾンビのウケが悪い日本人だけでなく、世界中にも通用するヒット作となりました
ただ逆に、こうした「明確な理由」が無いと、日本ではゾンビものが受け入れられないということでもあります
死体が身近にある欧米であれば、それが起き上がる恐怖は容易に想像でき、それ自体の原因を説明する必要もありません
ジャパンホラーで「霊魂が存在すること」をわざわざ説明しないのと同じです
しかし日本ではゾンビの発生理由を説明しないと、ゾンビもの自体が成立しなくなってしまうのです
しかもその理由も、生物兵器か未知のウイルスくらいしか無いのですから、そこに尺を使わざるを得ない時点で、やっぱり日本ではゾンビものは不利なんだと思います