N0TT0N さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
接点。
寄生獣、純粋に面白かった。
以前から原作の評判は知っていたけど、何となく未読のまま今まできてました。間違いなく近日中に原作コミックを読むと思います。
内容はというと、
強いテーマ性がありつつエンタメ性充分。
頭脳的でありながら感情的。
他にも利己的と利他的とか、本能と社会性などなどの対比を、『寄生』という1つの設定で表現している物語です。
いっても、「寄生」さえあればなんでも上手くまとまっちゃうってほどのチート設定ではないんでしょうが、それにしてもこの設定の有能さは驚愕のレベルです。
人類に対する脅威という意味でなら、高度な文明を持った侵略者だの異能のモノだの未来人だの巨人だのと枚挙にいとまはないけど、寄生には別の意味が含まれている。
人間という宿主が必要という事実。とにかく根底にあるこの両者のつながり方の影響がデカい。
そして、寄生獣が知的生物でコミュニケーション能力があるという事実が物語を生み、彼らの「個としての強さと種としての弱さ」が人間の「個として弱い部分と種として強い部分」をあぶり出していく。
ま~ぁ見事な設定です。
失敗するタイプの人類の敵は、だいたい人間個人をみて「なんだよ?人間ちょろいじゃん\(^o^)/」という判断をして失敗する。
例えると、人間とライオンが個の能力で戦えばライオンの圧勝。
ただ、人間社会とライオン社会が対立したら人間社会が圧勝してしまうという点を見誤ってしまう感じ。
だが彼らはそうではない。冷静に人間と自分たちの力関係を分析し最適解を導き出そうとしている。
正直こういう考え方大好きです。
敵であってもある意味信頼できます。
その、学習能力が高く利己的で、個としての能力は人間に勝る生命体の通称パラサイトは、捕食対象であり寄生対象である人間と人間社会にどう対応していくのか?!
そして人間は?!人間社会は?!
そして、人間とパラサイトの接点ともいえるシンイチとミギーは?!
みたいな展開ですね。
なので、小難しい感じや葛藤なんかは全体を通してあると思います。でも設定がシンプルなので、迷走もないし、複雑でもないし、安定している。
流石は名作の呼び声が高い作品。
全くもって異論なし。
※以下は、個人的ネタバレ雑記。
{netabare}
あぁ、ミギー‥
君は、なんて優良キャラなんでしょう。
久しぶりに、居なくならないでミギー‥(T0T)!!
という感じの胸にポッカリ穴があいた気分を味わいました。
てか、シンイチよりミギーの方に共感してしまう自分がコワい。
元々、ロジカルなタイプってのもあると思うけど、それにしても人外の方に共感してしまうのはどうかと思いますw
特に「地球のためにとか臆面もなく言っちゃう人間が嫌い」の件とか、口に出して「それ、わかるわぁ~」なんて言ってたかもしれないw
理解しあうということはある意味幻想で、点での理解を繰り返すしかない。みたいな話もかなり解りやすかった。
「接点」の点ってそういうことだよな。なんて思ったり。
レビューだってある意味点を見つける作業だしな。とか脱線してみたり。。
気になった点。
シンイチのモテ要素がイマイチ解らない。
ってのはとりあえず置いておいて、
種の存続がないという点。
この設定を聞いた時点で「え?」って思った。あまりにも想像できない設定だったからだ。個の寿命があり、子孫の類を残さない。
すなわち絶滅だ。
もしかしたら高い知能を駆使して自分たちのルーツを探り当てるかもしれない、そして、継続可能な種として存続していくかもしれないが、少なくとも現時点では、自ら種を存続させる術を持たない生命体なのである。
それゆえ、駆除とか共生とかの展開も、なにか空虚なものを感じてしまった。
だって、予めタイムリミットが刻んであるんだから。
共生したとしてもそれは1代限りの期間限定。
継続されない刹那的な共生。
う~~ん。。
種のリミットが迫っているのを自覚している知的生命体の苦悩。
そんなものもあるのかもしれない。
{/netabare}