岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
優しくそして苦く、謎は、私たちの日常に寄り添う
私なりに本作を一言で言い表すなら、
優しくそして苦く、謎は、私たちの日常に寄り添う。でしょうか。
日常に埋もれてしまうような、何気ない謎が起点となって、本作の物語は展開します。一般的なミステリーとは毛色が少し異なり、殺人事件といった仰々しい事件は起こりません。古典部のメンバーによって、比較的静かで緩やかに、日常から端を発した謎は明らかになっていきます。
また、物語の解釈の余白が大きい点も特徴です。当事者本人の口からその真実が語られることはありません。あくまでも折木たちの推測によるものですが、彼らの推理には何とも言えない人もの暖かさを感じます。謎を解いた後の余韻であったり、空気であったり、が作品を通じて丁寧に描かれていると思います。
一般的なミステリーで見られるような密室殺人だったり不可解な事件よりも、キャラクターや謎に強く痛みを感じることができるのが、この作品の魅力かなと思いました。
何だか原作のレビューのようになってしまいましたが(笑)。
原作の良さを引き出しながら、アニメならではの綺麗なグラフィックや音楽、声優さんの芝居が随所に見られました。特に最終話の遠回りする雛のエピソードが好きで、あの桜の色だったり空の風景だったり、奉太郎とえるの会話だったり、何度も見返したくなってしまいます。