ビアンキ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
父親の自分探しの物語
レンタルDVDで日本語吹き替え版を視聴。
2009年アメリカで公開されたアニメ映画、
日本では2011年に公開された。
本作の感想を書く。
本作の物語の筋は比較的単純。
ざっくりと説明すると、
擬人化された狐の主人公Mr.foxと、その家族や
その他森に住んでいた野性動物たちが
食料や住み処を懸けて人間と戦う、というもの。
分かりやすい活劇物語である。
しかし主人公は子供ではない、妻も子供もいる父親である。
その父親が、自分らしさ・狐らしさを見せよう・見つけようとして、
人間に対してある行動をとったことで物語は大きく動き出す。
主人公は知恵を使い、人間を出し抜く。
しかし人間の行動もどんどん凶悪になっていく。
人間たちの攻撃を受け、家族や仲間を危険に晒す度に責任感や葛藤を持ち、
自分を見つめ直し、
自分らしさを模索し、
最後にはちょっとだけヒーローっぽくなった父親の物語、
でもあった。
人間と戦い、出し抜く活劇物語、
自分らしさを模索する父親の物語、
この二つの筋を上手く絡めて両立し、
85分程のアニメ映画として綺麗にシンプルにまとめたことは高評価に値するだろう。
作品中で時々流れる音楽が良かった。
私は音楽、 それも洋楽に関しては全く知識が無いので詳しくは語れないが、
本作の冒頭、主人公が鳥を捕まえに行くシーンで唐突に流れ出す曲。
アニメーションも相まってか、若さや勢いが出ていて非常に良かった。
他にもボーカル付きの音楽が流れるシーンがいくつかあり、 歌詞の意味が分からない私が聞いても
楽曲自体、そして使いどころに関しても良かったと思う。
もしかしたら全て新しく作られた曲だったのかも知れないが、一部の曲は古い洋楽のように感じた。
洋楽好きな方だったら、より楽しめるのかもしれない。
古い洋楽を使っているにせよ、新しく作ったものにせよ、どちらにしろ何かしらのこだわりがあったのは理解できた。
本作はアニメ映画である。
しかし手描きアニメではなく、ストップモーションアニメである。
これは人形を少しずつ動かして、少しずつ撮影していく、
コマ撮りとも呼ばれる手法である。
目や体毛もリアルに再現された動物の人形が
体や表情を動かして繊細な演技をしている様は
非常に美しい。
また3DCG等とは違う、妙に滑らかではないからこそのリアリティが出ており、
その本当に一枚一枚撮影したと分かる手作り感から
クリエイターの苦労と努力が窺える。
素人目にも凄まじく時間をかけて作られたと分かる丁寧で引き込まれるアニメーションだった。
父親の物語、父親の自分探しの物語であった。
今現在父親である方が見れば、より何か感じるものがあるかもしれない。
しかし冒頭でも書いた通り、
物語の大筋は分かりやすい活劇である、そのためおそらく子供でも、誰でも楽しめるはずだ。
妻子どころか彼女すらいない私でも凄く楽しめたし(笑)
物語の筋は割とシンプルながら、
アニメーションや音楽の面において強いこだわりを持って作られたと分かる傑作でした。
下手くそな文章、お読み頂きありがとうございます。