ぽぽんぷぐにゃん さんの感想・評価
4.0
物語 : 1.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
王道ファンタジーでは足りなかったのだろうか?
魔法戦争ショックの最中、突如としてアニメ世界に津波警報が鳴り響いた。
そんな……まさか……口々にあがる戸惑いの声。とうについえたはずの悪魔の野望が、空を覆いつくす。
sakiシリーズの続編、
『咲-Saki-全国編』(通称「全国編」)。
「Saki」と言えば「ファンタジーアニメ」の看板シリーズであり、
そこに全国編の名を冠する本作は、いわば「決定版」。
二度の汚名を輩出した暴君の、侵攻開始である。
本作は、第1作の続編だ。
このシリーズ、様々な致命的なクソを多数抱えており、
クソ・落胆アニメの成り損ないと語り継がれる2012年版において、ファンを最後まで苦しめた曰くつきの逸品である。
あまりの完成度の低さゆえか、3作目は1作目の続編となったが、
その甲斐はあり、致命的なクソのほとんどは姿を消している。
だがそれは巧妙な罠だった。
アクを丹念に取り除く一方で、ファンタジーアニメとしての本来の味わいを、丁寧に煮詰めていたのである。
『第1作』は再現度の低さで、『第2作』は苦痛きわまる設定などで……。
これまでSakiが生んだ功績はそれぞれ、根本からファンを寄せ付けない代物であった。
だが、『第3作』はそれらを改善してアニメにギリギリ堪えるようにし、
その代わり、タイアップや尺の長さというただ一点を最凶最悪にした。
それはあまりにも地味で、
だが、あまりにも効果的。
言うなれば、人が生きている限り必ず吸う空気に毒を仕込むようなものであり、
このアニメを視聴している限り、30分以内に多数押し寄せるストレスから逃れようがないのだ。
この完璧な戦略の前に、視聴者はなすすべもなく相次いで投降していくこととなった。