おぬごん さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
江戸川乱歩の名を借りて
江戸川乱歩の作品を原案に、割と好き放題した作品
原案とはいっても各作品の要素(明智や小林少年といった人物名、「芋虫」の手足を失った人間等)を借りて、あとは完全にオリジナルで作られています
1~2話こそミステリー風の作りではありますが、基本的には胸糞悪さ、後味の悪さが残る話が続き、ラスト数話は明智探偵と怪人二十面相の因縁をPSYCHO-PASS風に描く話
中盤までの作りは(面白いかどうかは別として)それなりに個性的で、また胸糞悪さや悪趣味さも乱歩作品の特徴ではありますから、それなりに評価したいです
怪人二十面相を、膨大な模倣犯が生まれることで結果的に「多数の顔を持つ」犯罪者として描いた点も面白かったと思います
ただラスト数話の二十面相との本格的な対決では、攻殻機動隊SACやPSYCHO-PASSに影響を受けたのが見え見えな展開に加え、なぜか「数式」というキーワードを軸に物語が進められ、これが面倒な説明をすべて省いていて完全に視聴者置いてけぼり
二十面相のやりたいことを表現するのに「数式」である必要があったとはとても思えず、この乱暴な描写のせいで随分と興が醒めてしまいました
男の娘風でサイコパス気味な小林少年に代表される飛び道具的なキャラもあまり印象が良くありませんでした
小林少年を演じた高橋李依の、不気味なほどに無邪気な演技は良かったと思います
(余談ですが、高橋李依さん可愛いですよね!)
またOP、EDの何とも言えない不気味な雰囲気は素晴らしかったですね!
人気監督が過去の文学作品を原案として作ったノイタミナ作品としては「UN-GO」がありましたが、
作者の名前が作品名に刻まれている以上、視聴者は原作に沿ったストレートな作品を期待してしまうものです
スタッフに原作への敬意があるかどうかは分かりませんが、両作品ともにかなりやりたい放題やってる印象があります
あくまで「原案」だというのは分かりますが、作者の名前を騙る以上、視聴者は当然原作を意識して作品に向かうのだということを、ノイタミナスタッフには分かって欲しい…なんてことを思ったりします