アリア社長 さんの感想・評価
4.4
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
【良作】ホラーアニメの体をなしているが、伝えたい事はその先にあった
女の子たちがひょんな事から学校で暮らすことになった日常系アニメ(白目)。
このアニメを見たあと原作の漫画を買って読んだのですが、アニメと漫画では作品のテイストが全く異なっていてビックリしました。
原作は王道のホラー漫画。 {netabare} ゾンビに襲われる女の子たちを描いたサバイバルホラー 。{/netabare}
だけどアニメは単なるホラー物というよりは、楽しかった日常にいつまでも囚われている女の子たちが、最後は今という現実を生きるために、勇気を出して一歩前に進む成長物語の色が濃かったです。
もちろんホラーとしての面白さもしっかり表現出来てましたが。
{netabare}アニメにおける主人公ゆきちゃんの幻覚症状&楽しい日常系アニメの描写は実は原作よりも非常に強調されています。
つまりこのアニメは原作とはまた別に、日常(今作では学校生活)の素晴らしさを前面に描きつつも、最終的にはその日常は永遠に続くわけではないので、いつまでもそこに囚われることなく、変わりゆく日常を恐れず前に進もう!ということを伝えたかったのだと思います。
最終回におけるゆきちゃんの放送室での演説に関して。
「私はこの学校が大好きです。みんなも好きだよね!ずっとずっと好きだから、だからここにいるんだよね。でもどんなに良いことも、終わりはあるから。ずっと続くものはなくて、それは悲しいけど、でもそのほうが良いと思うから・・・だから学校はもう終わりです」。
このセリフはこのアニメが伝えたかった事(上で述べたこと)を端的に表わしていると思います。
このセリフ自体がアニメオリジナルですしね。
名セリフ。胸にジ~ンと響きました。
最後にゆきちゃんは正気に戻り、現実を生きようとします。
(原作ではこの時点で正気に戻ることはありませんでした)
さらに女の子たちは学校を卒業し、未来に向かって歩み始めます。 {/netabare}
脱・輝かしき日常、そしてWelcome新しい日常。
自分はこのアニメを見て『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を思い出しました。
(原作ファンからは余計な原作改変はするな!という苦情が聞こえてきそうです。それこそビューティフル・ドリーマー同様に)
唐突ですが自分が最も好きな『ARIA』という漫画にこんなセリフがあります。
「あの頃の楽しさに囚われて、今の楽しさが見えなくなっちゃもったいないもんね。あの頃は楽しかったじゃなくて、あの頃も楽しかった・・・よね」
このアニメはそこまで楽観的な世界観ではないですが、伝えたいことの主旨は似たようなものだと思います。
作中の謎は結局明らかになりませんでしたが、このアニメが伝えたかったことを考慮すると、そこはそれほど重要じゃない気がします。
(原作漫画においてはむしろとても重要な謎ですが)
とにかくこのアニメが最も伝えたいこと・やりたいことはちゃんとやり遂げたという印象です。
OPが凝った作りになっていたのも好印象。作画も最後までド安定。
原作漫画とは強調しているポイントが全く違いますが、漫画とは別にこのアニメ単体として見れば十分良作だと思います。