アリア社長 さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
芸術✖エンターテイメントの極地。これがジャパニメーションだ!
ノイタミナ枠で放送された江戸時代(一部近代)を舞台とした和製ホラーアニメ。
以前ノイタミナ枠で放送された『怪 〜ayakashi〜』(日本古来の怪談の中から著名な話をオムニバス形式でアニメ化した作品)のエピソードの一つ「化猫」(全3話)の続編。
なので実質3話+12話=全15話。
先に『怪 〜ayakashi〜』の9~11話(化猫)を見ることをオススメします。
【あらすじ】
モノノ怪を斬ることのできる退魔の剣を携えて、諸国を巡る謎の男・「薬売り」。
彼がモノノ怪の形と真(まこと)と理(ことわり)を明らかにし、退魔の剣でモノノ怪を退治していく物語。
【感想】
私は今までTVアニメを見て「面白さ」とはまた別に、凄すぎて圧倒された作品がいくつかありますが、そのうちの一つが今作『モノノ怪』。
まず絵のタッチが異質。和風ベースの世界観を展開するための和紙のような質感と独特な背景美術、鮮やかな色彩。
今まで見てきた全てのアニメの中で最も「高画質で見たいアニメ」という印象。
凝り過ぎてて1クール作画が持つのかと心配するレベル。(最後まで作画崩壊することは無かった)
もはや芸術的映像と言っても差し支え無い出来。まずこの時点で圧倒されました。
ただその手の異質で尖った作品って、結局作り手の自己満(オナニー)で終わってしまうことが多い印象。
凄いとは思うけど、エンターテイメントとして面白くない、意味が分からないという作品の多いこと・・・
しかし今作『モノノ怪』はエンターテイメントとしてしっかり視聴者を楽しませることも忘れてません。
面白さを支えている一つの要素は声優の櫻井 孝宏(さくらい たかひろ)演じる主人公・「薬売り」さんの圧倒的存在感でしょうか。
奇っ怪な風体、オドロオドロしい独特な口調、一体こやつ何者なんだと問いたくなる禍々しいオーラ。
アニメにおける重要なファクターの一つに「キャラの立ち具合」が挙がると自分は思っているのですが、それに関して文句なしにトップレベルです。
ただ主人公が頼もしすぎて、ホラーとしての怖さは半減してしまってるというのが唯一の欠点でしょうか。
といっても、妖怪のオドロオドロしさは見事表現出来てます。
思わず息を呑み、手に汗握ったこともしばしば。
和製ホラーの面白さがちゃんとあります。
最後にストーリー。
モノノ怪を斬るためにはモノノ怪の形(かたち)・真(まこと)・理(ことわり)の三つを知ることが必要。
『形』とは、もののけの姿。
『真』とは、事のありさま(e.g.事件)。
『理』とは、心のありさま(e.g.怨念)。
モノノ怪が生まれた原因となった事件とそれによって生じた数々の怨みが次第に明らかになっていく過程はミステリー風味の面白さがありました。
歴代の名作アニメにも引けをとらない、完成度の高い作品に仕上がってます。
アニメ好きなら必見。興味を持った人はぜひ。