退会済のユーザー さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
タイトルなし
終盤の盛り上がりで感想の大部分を占めてしまうなら、本作に対する評価はとても良い作品、ということになる。
ただ、全体を落ち着いて振り返ってみると、微妙だったんだよなぁ……。
家族愛……というか、家族の絆のようなものがテーマであるならば、ケンジは必要なかったワケで。
逆に言えばテーマではなく、メッセージとして発信しようとしたからこそ、【部外者】である主人公を用意したのだろうけれど、そのわりには、主人公を通してメッセージを語るシーンのあっさりしたこと。
ワビスケおじさんとナツキをメインに据えた方が、物語としてはもっと締まったような気がするんだよなぁ。
とくにワビスケおじさんメインとかだと。まぁ、本作の対象年齢を考えれば、おじさんが主人公ってのは無理があるんだろうけど……。
全体的なストーリーは、同監督作品の【ぼくらのウォーゲーム】を尺に合わせて少しいじったようなものなので、僕にとっては新鮮味に薄く、密度で言っても
面白さで言っても、【ぼくらのウォーゲーム】の方が上だと思う。
ただ、素晴らしかったのが終盤のパスワード解除シーン。
「解いた!」と思った次の瞬間、再度ロックがかかってしまい、主人公の表情が歪む。どう見たって絶望したようにしか見えない。
開いた瞳孔と吹き出る冷や汗がそんな印象を抱かせた。
が、次のカットで、主人公の震える指がゆっくりタイピングを始める。ここで親戚のおじさんが戦慄とともに「暗算……!」と呟く。
この流れに鳥肌が立った。理系男子かっけぇ!
こういうシーンを魅せられたら、ナツキ先輩が冴えないケンジに惚れるまでになったラストにも充分納得できて、気持ち良く観終えることができた。
けど、よく考えたらナツキ先輩にこれといった魅力が無い! これが致命的だったんだよなぁ……。憧れの先輩ってポジションなのはよく分かるんだけど、学校内でのアイドルであるナツキが描かれないうちに彼女の実家に行ってしまったが為に、ギャップが生まれることなく普通に活発な女の子としてしか見れないんだよ。ここがもう少し違っていれば、ラストでもっと盛り上がったんじゃないかなぁ。
……個人的に、作中でプッシュされてた【おばあちゃんは凄い人】感。僕はこれが好きになれなかった。
自分の養子に向かって「死ね」とまで言っておきながら、ナツキらへ向けた手紙には「人間、落ち着きが肝心」ときた。いや、どの口がそれを言うのかと……。
さらに腑に落ちないのが、ナツキの花札の強さ。OZ相手に圧倒してたけど、その前にワビスケさんに普通に負けてるからね?