どらむろ さんの感想・評価

4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

シャフト制作のシュールコメディー。テンポ良く気持ち良く笑える良質なギャグアニメです

ヤングガンガンの人気漫画原作、シャフト制作のギャグコメディーです。
荒川河川敷に住み着いている奇妙な住人達との、非常識な日常が描かれます。
30分番組内で、数分程度のショートコメディーをテンポ良く繰り返す構成、怒涛のボケとツッコミが見所でしょうか。
仄かなラブコメ要素あり。これらをシャフト特有の演出で、ギャグにしてはオシャレな作風なのも魅力あり。

ギャグ系作品の中でもかなりの人気作品であり、（合う合わないはあるかもですが）比較的万人にオススメ出来ます。

{netabare}『物語』
主人公・リク（本名はちゃんとあるが、河川敷ではリクルートと呼ばれる）は22歳の財閥御曹司のエリートであったが、河川敷で暮らす少女ニノに助けられ、家訓で借りは絶対作りたくないのでニノに借りを返そうと一緒に河川敷で暮らすことに。
河川敷は金星人を名乗るニノの他にも、（どう見ても着ぐるみな）河童の村長や、（どう見ても被り物な）星顔ミュージシャン等々、一癖どころではない変人ばかり。
常識人（…視聴者から見れば彼もかなり怪しいが）なリクは、彼ら奇妙な住人たちに翻弄されていくのだった…。

荒川河川敷という、常識的な日常とすぐ近くな場所が、まさかの魔境状態という世界観の面白さが魅力。
各々が非常識すぎる拘りを持つキャラ達とリクのボケツッコミの攻防。
リクが、非常識だけど純粋無垢なニノに少しずつ惹かれていく、仄かなラブコメの波動…
1回辺り30分（実質約23分）内で、1話数分程度のショートなので、（2期も含めて）200話（1期だけなら108話）に及ぶショートコメディーが、テンポ良く繰り返されます。

常識と非常識の境界線…
初期、視聴者（原作読者）は主人公リク寄りの常識でもって河川敷住人にツッコまずにはいられまい。
だが、回が進む程に…
あれ？常識ってなんすかねー？河川敷の生き方も案外…？
次第に荒川河川敷の雰囲気に毒されてしまい、（まあ、こういう生き方も楽しそうだなぁ？）
…常識的に考えると明らかにNGなんですが！けれど、とっても楽しそうじゃないですか♪
自分らしく生きる。
というと小難しいようですが、実態は超非常識でくだらない、ショートコメディー連発で気楽に笑えます。
必ずしも仲良しばかりではなくケンカも多いのですが、互いにどんな個性も認め合う為か、見ていて愉快な雰囲気なのが良いです。
リクと星のケンカは、相性バッチリな仲良し漫才コンビの漫才みたいな楽しさありますね。
…これらの要素が、主人公リクの独白形式含むシャフト特有の演出と相性抜群でした。
割と無茶苦茶やっている割には、あまり下品さを感じない、上質なギャグ作品な印象。
これは確かに比較的万人に受け入れられそうです。

…本編もさることながら、予告編のショートコントも非常に面白い。
本編よりも笑えるくらいですｗ


以下、若干ながら難点を。
…ギャグとしては割とベタなボケツッコミで、瞬間風速的に爆笑！という程では無いかも。
数分ショート連打の構成は、テンポ良くアッという間に楽しく視聴できる面もあれば、連続視聴するとちょっと飽きが来る面もあり。
私の場合、一度に3話（69分）くらいがちょうどよい感じでした。

視聴者の常識と河川敷の非常識のギャップがネタの主力の為、世界観に慣れてくると若干ギャグの鮮度が落ちてくる面も。
強烈なキャラクターに依存する作風、徐々にキャラ増えると楽しさ増す…面もあれば、ある程度いくと、お腹一杯な気分にも。

あと若干ではありますが、女尊男卑っぽい作風が少し気になります。
シスターがマリアさんの毒舌で出血するお約束ネタは、初期はインパクト大で爆笑出来ますが、多用されると辟易してくる。
終盤の河川敷立ち退き騒動でのマリアさんの無双は痛快と好意的にも取れますが、真面目に仕事しているだけの役人が気の毒にも思えてしまいました。

とはいえ、ギャグコメディーとしても仄かなラブコメとしても、水準以上に面白く楽しいアニメでした。
…2期は残念ながら、1期に比べ相対的に楽しめなかったです。


『作画』
シャフト特有の作画と演出がバッチリとハマってました。
荒川河川敷という、現実にありながらも非常識な魔境と化している舞台を、美しく魅力的に描いている。
キャラ作画は特別綺麗で可愛いというよりは、なんというか、上質な印象。

『声優』
シャフトの独白主人公といえば神谷浩史さん、流石です。
ニノの坂本真綾さんの天然系な演技も絶品です。
この他声優陣の好演が多く、藤原啓治さん、杉田智和さん、子安武人さん、大塚芳忠さんら非常にハマリ役。
斎藤千和さんの可愛い幼女→マッチョ、沢城みゆきさんのドSっぷりステキ。
P子は小見川千明さん以外あり得ない位特徴的で良し。

『音楽』
やくしまるえつこさんのOP「ヴィーナスとジーザス」が大変オシャレ。
アニソンとしては抜きん出てはいないのですが、本作特有の雰囲気醸成に一役買っていると見て高評価。
BGMも含め、過度に邪魔にならない程度に本編盛り上げてました。

『キャラ』
超個性派キャラクターが本作の醍醐味です。
主人公リクは唯一の常識人ポジですが、彼からして結構常識が怪しい。
そもそもリクでなければ河川敷に適応出来なかったでしょうし。
常識と非常識の絶妙な境界線上で怒涛のボケに健気にツッコみまくった、独白含め正に主人公に相応しい男であった。
何気に少女漫画的な超人チートキャラ（少女漫画ではないが女性作者らしい）

ヒロイン・ニノはクールな不思議系、明らかに非常識ながらそのピュアな素直さは、リクが惹かれていくのも理解できると思わせる可愛さありました。
P子が一番可愛いです。一番普通の女の子っぽい。

この他、非常時過ぎる拘り持つキャラ多し。
でも河童村長も白線引きシロさんも只者じゃなさそう…。
鉄人兄弟も含め、存在自体が常時ツッコミを生む！
シスター（なのに男）は常時戦場並みの武装と警戒しているトンデモキャラ…なのに、彼が比較的まともな人格者に思えてくるのが荒川河川敷クオリティー。
星はリクの良きライバルにして相方でしたねぇ。こいつが一番人情味あって好き。
ステラちゃんは幼女モードもあざとい可愛さと、ケンシロウモードの怖さのギャップが！
明らかに体積変わってるんですが！？うまるちゃんもビックリです！
マリアさんは最強にして最恐でした。ドSネタは良し悪しあり。
秘書の高井は忠臣なんですが…気持ち悪いですｗ
リクの父は…ツンデレなのかも。

全般に圧倒的な個性がギャグを牽引していました。
素晴らしきキャラクター達なのですが、大好きかと問われると、やや戸惑いますｗ {/netabare}