ノリノリメガネ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
悲愴×オーバーザレインボー
あの花スタッフがおくるということで期待して観ました。※ものすごくネタバレしてるので気をつけてください。
すごくおもしろかったです。
ざっくり言うと、過去のトラウマから失声症を患う(殻に閉じこもった)少女(成瀬)が恋や友情のパワーで声を取り戻す(殻を打ち破る)話で、坂上をはじめとする成瀬を取り巻くキャラクター達もそれぞれが成長していくザ・青春ストーリー。
物語のキーとなるのが「地域ふれあい交流会」なる地域住民向けの発表会でやることになった「ミュージカル」。ここの設定は少しパンチ力に欠けるかなと。もっと大きい舞台を用意してあげても良かったのかなと思いました。
そしてその実行委員に主要キャラが選ばれて青春していくわけだけど、なぜ先生がはじめにこの4人を選んだのか説明が無いのが苦しい所です。
それでももどかしい恋の四画関係、自分の不全感を乗り越える田崎、作画・美術背景の美しさ、音楽などすごく良かったです。強いて言うならラストのミュージカルシーンの作画や演出をもっと凝って欲しかったかなと思います。
坂上が成瀬を振るとこはかなり良かった。こういう青春もののセオリー(殻)をまさに打ち破った瞬間ではなかろうか。
また、言葉と音楽に焦点を当てられていて、言葉が持つ功罪について考えさせられました。やっぱり言いたいことはストレートに言ったほうが良いよなって思いました。打算とか、いろいろ考えても結局は歪曲して伝わっちゃうと悲しくなりますしね。
だから、たとえ子ども成瀬が父の不貞をうっかり母に言わなかったとしても、いずれあの夫婦は終わってたのではないかと思います。決して正直に話した成瀬のせいなどではなく、あれは親の失態を子どもに押し付けてしまった典型ですね。
悲愴とオーバーザレインボーを組み合わせたのも言葉や人間の抱える不と正の感情を表したかったのでしょうね。言葉はときに人を傷つけ、ときに大切な思いを伝える手段にもなる、言葉自体に罪はないのでしょう。
キャラクターに関してはサブキャラが活き活きしていて魅力的でしたが、坂上や仁藤があまり好きになれなかったのが難点。どうしても成瀬をフィーチャーしてる作品だからそれを振った坂上はなんか悪者に見えちゃいますよね。誰にでも優しい男ってのは罪ですね。それに対して田崎は最初やさぐれてたってのもあって後半にかけて点数がうなぎのぼりで逆に得してるキャラですね。
他にも、あの花のキャラクターが少し登場したり、見たことのありそうな背景があったりとあの花ファンにもうれしい作りになってるところが高評価でした。