ぱるうらら さんの感想・評価

4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態：観終わった

とても朝に放送していたとは思えない熱いアニメ。『天元突破グレンラガン』

『天元突破グレンラガン』はオリジナルアニメ、2クール（全27話）の、熱い男のSFファンタジーロボットアニメです。


このアニメはとても熱く、とても良く出来た内容なのにも関わらず深夜アニメではなく日曜の朝8時30分放送という午前枠のアニメでした。故に、子供向けの時間に放送していたと言う事で、私は一応これを子供向けアニメと判断いたしました。 大人は仕事の疲れを癒すためにまだまだ寝ている時間ですからね。(_ _) ..zzZZ

リズミカルなOP曲に始まり、読み辛い字体の各話タイトル、カミナの熱い台詞、活気あふれる戦闘。朝っぱらからアドレナリンが急激に分泌されてしまいそうですね。 当時のこども達のは朝から目をギンギンと見開き、ハートもボーボーと燃え盛っていたことでしょう。




第一章の始めには、宇宙で敵と戦っている描写という形で後半への伏線が張られていました。この時点で一体どのような方向へと進むアニメであるのかがわかりましたし、あの迫力のある爆発シーンで子供をワクワクさせられたのではないかという点で伏線の張り方はとても良かった。
また、『遮蔽フィールド、クラス8』の様な何を言っているのかよく分からない台詞や『敵艦隊、無量大数！！』などの台詞も子供達にそのアニメの壮大さや躍動感を端的に与えており、序盤から強い印象を与えたという点で私的には高評価です。
でも、ツッコミどころもありましたが…。例えば『無量大数』と言う台詞。無量大数というのは10の68乗で、えぇ、どうすればこの膨大な数を一瞬で数えられるのかということで甚だしく疑問なのですが、何と言っても子供向けのアニメですしとにかく沢山いるのだと言いたいことは分かるのでまぁ良しとしましょう。


私は第4話において作画の雰囲気が突然変わったことに関して最初は作画の崩壊がこんなにも顕著に表れてしまったのか、これからずっとこの作画のままなのか？と、先行きがかなり不安になりましたが、4話以降はいつも通りの作画に戻ったため安心しましたが残ったのはなぜこのような回が出来てしまったのだろうかと言う若干の不満と疑問でした。
このことについては既に知っている方は多いでしょうが、この回の見所は作画ではなく内容だそうで、飢えながら旅をするシモンたち一行のお話をこの回で表そうとしたようです。
まぁ、この回は少しばかり無理矢理に合体シーンを組み込んでいたり、ストーリー自体にそれほど大きく関係するような回でもなかったようにも思えましたが、私としてもこの回のせいで少しばかり評価が下がってしまったなどとは思いません。要は全体的に総合的に見た評価が大事なのですから。


第一章が終わりである第8話において、このアニメの中心的存在でもあったカミナが早くも死んでしまいました。シモンに自分を信じることが大切だということを説いたり、最後まで男らしい生き様でした…が、流石に第8話でフェイドアウトさせるには早過ぎな気がしました。これは2クールアニメと言うこともあり仕様がないことではあるのですが、感情移入するには8話ではまだまだ足りず、最後の最後までカミナに対し中途半端な感情移入のままであったために本当ならもっと感動できる終盤のシーンでも感動が薄くなってしまいました。
そもそもグレンラガンのような展開が少々早いアニメにおいて、2クールという長いようで短い期間内にこの要素を取り入れるのは難しいのではないだろうか。 2クール以上であったならばカミナの死をもう少し先延ばしして、良い感じに感情移入も出来たのだろうが…。

とは言ったものの、視聴者が一番期待していたであろうそして第26話のタイトルからも察せられるであろう、カミナ登場シーンはその演出・登場のタイミングとともに実に素晴らしいものでした。この時にカミナが言った台詞はそれまでのカミナの気持ちをまとめたものでしたが、それがこのアニメにおける大切なこと、そして成長したシモンを構成する全てとも言えることかもしれません。この台詞にはこのアニメ全体の根本とも言える『諦めない不屈の心』という内容が詰まっていましたように私は感じました。
それまでにも、シモンは何度も何度も心が折れかけていた（折れた）がカミナの熱い言葉、そしてカミナという存在、仲間達の口や態度には出さない励まし、自分の守るべきものが出来たことなどによって何度も何度も支えられ、心を持ち直し、そして本当の自分にという存在を認めるまで至った。 ここには『仲間・友情・絆』というこのアニメにおける大切な要素が含まれていましたが、やはり私にとっては『諦めない不屈の心』がこのアニメの一番のテーマではないかと思いました。

最終話ではこのアニメにおいて一度だけあったカミナとヨーコの時と似たような儚い恋愛要素があり、この最終回においてもそれは儚く散って、かなりシビアな内容となりました。が、このシーンはこのアニメにおけるもう一つの大きなの見せ場、視聴終了後にも余韻を残してくれる感動的なシーンでした。
しかし、相変わらず完全なハッピーエンドにはしないのですね、このアニメは...。



このアニメはただ単に敵を次々と蹴散らし仲間を失うことも無く淡々と物語が進んでいくのではなく、しかし味方が大敗に帰するような事はないのですが、戦闘後に残るのは新たな問題や敵の圧倒的な戦力差を突きつけられると言う試練が常にあった。何もかもが上手く事を運ぶということ無く、結果はカミナの死という、初めてこのアニメを視聴した方には少々驚きのそして考え難い展開でした。（私も予想外でした。）つまりこのような王道的かつ予想を反する大きな展開が全27話の中の重要な点毎（それが章としての分割だと思われる）に挿入され、視聴者飽きさせない且つ子供が楽しめるような迫力あるアクションシーン、合体要素、宇宙規模の壮大なテーマがうまく纏まっており、話の内容・構成としてはとても良い出来でした。 過剰なアクションシーン・合体シーンなどについては子供向けですが、ストーリーに関しては大人でも十分楽しめるものだと感じました。

後半になると何やら子供にはほぼ確実に理解し難い、難しい用語が飛び交っていましたが、まぁ雰囲気で見ている子供にとっては特に問題の無いことでしょう。いや、これは大人にも言えることですね。このアニメは雰囲気だけで十分に見ることが出来ることですし...。


あまり大した事は書いていませんでしたが、随分と長いレビューになってしまいました。
とにかく私にとっては、子供向けにも拘らず最高クラスと呼べる、そして見ているだけ何だか元気を貰えるような素晴らしいアニメでした。 数々の名作を作り出してきたガイナックス、ここでもしっかりとやってくれたようです♪